不正取引問題で揺れる「運用型広告」は、人間の知性の無駄遣いか?

【前回】「マーケティングはもはや組織の一機能ではなく、一つの思想である」はこちら

画像提供:shutterstock

“Chess is as elaborate a waste of human intelligence as you can find outside an advertising agency”
— Raymond Chandler

“チェスと広告業は、いずれも同じくらい手の込んだ、人間の知性の無駄遣いだ”
—レイモンド・チャンドラー

米国の小説家 レイモンド・チャンドラーが生きていたら、アドテクノロジーについても同じことを言ったでしょうか?アドテクノロジーには膨大な人類の知性が注ぎ込まれていますが、それがあまりに「手が込んでいる」ため、もっと平たく言うと「すごく頭の良い人たち」によって研究され開発されているため、このチャンドラーの引用のように、その存否が真正面から疑問視されることはあまりありません。

アドテクノロジーの結集ともいえる運用型広告、プログラマティックについて、業界の構造的な問題が議論されています。しかしそれ以前に、アドテクノロジー・運用型広告は、そもそも本当に必要なものなのでしょうか。

業界の構造的な問題の議論というのは、その業界の必要性のうえに成り立つものです。例えば、馬車製造業界に構造的な問題があったとしても、今はそれより馬車そのものの存否が議論のポイントでしょう。アドテクノロジー・運用型広告はどうでしょうか。その存否に疑問の余地はないのでしょうか。

筆者が考える運用型広告の大きな特徴は、1. 行動ベース&コンテンツベースの細かいターゲティング機能、2. 最小購買単位の小ささが可能にする緻密な最適化機能、3. メディア・オーディエンスの豊富さが可能にする(リサーチとも比肩しうる)多角的な効果のトラッキング機能、の3つです。

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井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)
井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)

OFFICE pianonoki マーケター。
ヤフー 、ニュージーランド航空、ユニリーバでデジタルマーケティングの責任者を歴任し現職。advertimesコラムニスト。
ツイッター:@pianonoki
著書に「デジタルマーケティングの実務ガイド」

井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)

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