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【速報】コミュニケーション視点で読み解く、米・大統領選――プレゼン術篇(2)

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米大統領選はついに決着し、「トランプ氏が勝利確実」と報じられた。接戦の展開となった、両者のプレゼンテーションを専門家らはどのように見たのか。
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永井 千佳 氏(エグゼクティブ・スピーチ・コンサルタント)

桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒。経営者のメッセージ強化に、様々な音楽ノウハウの蓄積が役立つとの気づきをもとに、エグゼクティブスピーチコンサルティングを開発・提供。著書に『DVD付 リーダーは低い声で話せ』(KADOKAWA 中経出版)がある。

 

人の心を動かした、感情とシンプルな言葉

2人の討論会を思い出してほしい。政策論議よりも人格批判に終始する中、余裕の表情で大人の対応を心がけたヒラリーに対し、トランプは感情を抑えきれずイライラした様子を隠さなかった。表面的に見れば、そしてこれまでの大統領選であれば、どう見てもヒラリーの勝ちだ。

しかし結果はどうだったか?「サイレントマジョリティ」という言葉がある。拡大する貧富に現状に不満を持ち、変化を求める米国民は、冷静なヒラリーに心を動かされなかった。人の心を動かすのは、感情とシンプルな言葉だ。

「仕事を奪ったのは移民だ」
「だからメキシコ国境に壁を作る」
「そして、米国を再び偉大な国にする」

サイレントマジョリティを動かしたのは、ロジカルに説得するヒラリーではなく、シンプルに感情に訴えたトランプだったのだ。

ただトランプの方法が日本で通用するとは限らないことは、読者の方々もすぐにわかるだろう。

たとえば米国で一般的に行われているライバルと比較した広告やプレゼンは、日本ではなかなか受け容れられないのが現実である。

その時の状況、聴衆、時代により、「勝つプレゼン」のあり方は変わるのである。


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