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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

神様が「そんなに感謝されても困る」と思うほど、感謝して生きている(ゲスト:宮本亜門さん)【前編】

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過去に何度か本当に死にかけた亜門さん

宮本:参拝はよく行きますね。趣味というか、手を合わせるのが大好きで。「そんなに感謝されても困るよ」って神様が言ってるんじゃないというぐらい感謝するのが好き。生きてることがありがとう、大好き系なので。僕は交通事故などで何回も死にかけてるので、生きてることがますますありがたいなって、つい「ありがとう」と。

澤本:その話をもうちょっとうかがってもいいですか?

宮本:世界貿易センターの同時多発テロのとき、僕はNYにいたんですよ。自分の舞台の最終リハーサルが終わった翌日で、いよいよ劇場に入る日。僕が初めて知ったのはTVだけど、2機目の後に表に出たら、もう大変な状態になっていて。電車に乗ったら、「ペンタゴンがやられた」と、完全に街がパニックになっている状態でした。劇場に入りましたけど、劇は中止になって。

それから4、5日ぐらい延期し、舞台も開いて、疲れきって東京に帰ろうとしたら、テロの件で取材がいくつかあったんです。

それでさらに疲れるだろうと、取材を全部断って、まだ2日間の空きがあったので成田空港ですぐ乗り換えてタイに行ったんです。タイでタクシーに乗ったときに横から違うタクシーがバリバリバリッとぶつかってきて。タクシーのドライバーの運ちゃんがハンドルを奪われて、反対側の電信柱に真っ直ぐすごいスピードでぶつかって、僕は後部座席にいたんだけど、頭でフロントガラスを突き破ったんですよ。

一同:えーー!!

宮本:15メートル飛んだの。僕の頭はパッカリ割れて。自分は「あー」ぐらいの意識しかなくて、その後は本当に穏やかな、白いフワフワしたイメージで。

中村:それは臨死体験ですか?

宮本:そう、最高だった。二度と起きたくないと思ったのを覚えてます。こんなに気持ちよく眠れるんだと思ったことだけは覚えていて。そしたらね、タイ語で「コップンカー・・・」って。天国だなと思ったら、タイの人達が集まって、僕を引きずり上げてるわけ。頭から血の噴水だし、口の中も血が入って、呼吸できないから、何とか血を取り出してもらいながらタクシーに乗せられて、警察病院に連れていってもらって、麻酔なしで頭を縫ったんですよ。

一同:えー・・・。

宮本:完全に死にかけて。顔と頭で50何針も縫って。その後は4年間ぐらいずーっとガラスの破片が顔から出てきてましたけどね。

澤本:顔に埋まってるのが・・・。

宮本:埋まってるんですよ。朝ふっと起きると、顔にプツーっと、ある一点から血がしたたり落ちていて。あ、ガラスが出てきたーって。

権八:マジですか!? すごい経験だ。

宮本:本当に。人間強いっすよ(笑)。それが一番大きいことだけど、何回か死にかけてることもあったので、「なんで生きてるんだろう」というのが基本的に僕の中にあるので。そういう意味では、手を合わせて、拝むことが好きだという。

権八:じゃあ拝むときは、お願いごととかじゃなくて、ありがとうなんですね。

宮本:基本的にそうですね。澤本さんみたいに僕は欲出しませんね(笑)。

一同:

宮本:いや、僕だって困ってるときはやっちゃいますよ。でも、基本的にはそんな感じで。

澤本:人から「最初に今までありがとうございました、と御礼をしてからやらなければいけない」と言われて。

宮本:なるほど。お礼をしちゃえばいいんだ。その後、お願いして。

澤本:勝手に僕はそう決めて(笑)。

宮本:今日学びました(笑)。

澤本:亜門さんの話を遮っちゃうようだけど、お礼するということが大事だなと最初に思ったのは、朝日新聞に天声人語ってあるでしょ。小学生のときにあの記事の中で、太宰府天満宮か何かで橋に人がいっぱい乗りすぎて、下にポーンと落ちちゃったことがあったと。そのときに、「この中の何人が今日無事でありますようにとお祈りしたか。今まで無事でありがとうと言ったんでしょうね」と書いてあって。

確かにそうだなと。「毎日無事でありがとう、今日が無事でありますように」と言っていたら、毎日無事なはずだと思って。それまでお祈りするときはお願いばかりしてたので、これはまずお礼しなければいけないと思ったことを覚えてるんですよ。

中村:すごいありがたい回になってる(笑)。

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