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コラム

藤村厚夫のメディア地殻変動

Webメディアへの信頼が揺らぐなか、課金型メディアが新たな局面を迎えている

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フェイク(偽)ニュースの横行と、既存メディアの地盤沈下

広告収入に望みを託すのではなく、自らのコンテンツの品質やブランドをテコに、課金収入を伸ばそうとするメディアの取り組みが、改めて目立ってきている。

この動きで着目すべきは、コンテンツに信頼性を求めるニーズの拡大だ。本稿では、この流れを背景に、読者からの課金によってビジネスを存続させようという“クオリティ(高品質)メディア”の動きについて論じようと思う。

前回、論じたようにアメリカで行われてきた大統領選中、出所不明のスキャンダル、デマニュースがおびただしく生み出された。政治メディアの体裁はとっていても、実際は過激な論調で読者を釣り上げる、いわゆるカネ目的の“フェイク (偽)ニュースサイト”が雨後の筍のように生じたことも広く知られることとなった。

既存メディア勢力の多くも、選挙期間中、話題欲しさからトランプ次期大統領(候補)の動向をより克明に追った。

これは既存メディア、新興メディアのいずれにも、狙いどおりの大きなアクセスをもたらしたわけだが、その代償は大きかった。当のトランプ氏の過激な主張は、大手メディアの論調を軽々とスキップし、過激な新興右派メディアやソーシャルメディア経由で広く支持者のもとに届いた。トランプ氏の話題づくりに、新興右派メディアにとどまらず、既存の大手メディアも結果的に荷担してしまった格好だ。

ところで、「New York Times」(NYT)や「Financial Times」(FT)といった、「高級総合紙」を自認するメディアのオンライン版は、ペイウォール(有料購読者のみにアクセス権を与えるオンラインメディアの仕組み)を従来から運用している。そのため、読者数を急激に伸ばすのは難しいとされてきたのだが、今回の選挙期間はその様相が異なった。購読者数を大きく増やすことができたのだ。

次ページ 「クオリティメディアが大逆襲?」へ続く