コラム

藤村厚夫のメディア地殻変動

Webメディアへの信頼が揺らぐなか、課金型メディアが新たな局面を迎えている

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新興メディアでも、クオリティメディアが躍進

むろん、これらのメディアの好調は、単にブランドに寄りかからず、デジタル版ならではの利点やマーケティングを積極果敢に繰り広げていることも寄与しているはずだ。たが、その背景には、読者の「信頼性の高い報道や情報源を確保したい」という動きがあることは間違いないだろう。

図2 高額な購読料ながら品質で躍進する「The Information」について報じる記事

その点、品質などで差別化に信念をもつメディアの動きが目立つ。たとえば、「Wall Street Journal」から独立した30代の記者Jessica Lessin氏が率いるテクノロジー業界の動向にテーマを絞ったメディア「The Information」が好調だ。

2013年創業だが、昨年1年間で購読者を倍増した。月額約400ドルと比較的高価な値付けをしているにもかかわらずだ。また、同メディアでは年間購読料1万ドルの企業経営者向け特別版も用意している(「The Information’s Jessica Lessin on building her business, putting subscribers first and the future of media(購読者ファーストで未来のメディアを築く、The InformationのJessica Lessin)」)。筆者も購読しているが、さすがに特定分野では、他のメディアの追随を許さない品質とスピードで記事を繰り出す。また、広告への誘導がいっさいないことで実にクリーンな閲読体験も与えている。

また、「Politico」というデジタル版政治メディアの定番を築いた創業者Jim VandeHei氏も、近く年間購読料1万ドルもの新たなメディアを構想中だ(「Politico co-founder’s new media startup is eyeing $10,000 subscriptions — eventually(Politico共同創業者、新たなメディア・スタートアップで、1万ドルの購読料を検討)」。

手の届かない高額な購読料は願い下げにしたいところだが、日米で同時に起きているメディアの品質、信頼性に関する見直しを考えれば、高品質なメディアの取り組みに評価が集まるのは必然だ。そこで課金メカニズムが機能するようになるのは業界全体で歓迎すべきだろう。

<参考記事>
After Trump’s win, news organizations see a bump in subscriptions and donations

How the FT drove digital subscriptions sales by 600 percent over Brexit weekend

New York Times reports 41,000 new subscribers since the election

Newsonomics:The New York Times is setting its sights on 10 million digital subscribers

The Financial Times passes another major digital milestone

The Information’s Jessica Lessin on building her business, putting subscribers first and the future of media

Politico co-founder’s new media startup is eyeing $10,000 subscriptions — eventually

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