ライティングからプランニングへの新しい流れも発生
広告会社など、大きなクリエイティブ・コミュニケーション機能を持っている会社では、ひとつの明確な変化が見られます。それは、コピーライターが「書く商売」から「企画する商売」へと変移しつつあることです。
もちろん、全員ではありませんが、その萌芽ははっきりと見られました。メディアニュートラルな環境のなかで、キャッチフレーズというアウトプットに自らの努力を結実させるのではなく、広告づくりそのものの構造や仕掛けを企画しつつ、その過程で自由にメディアを考え、言葉を生み出すという「一派」の誕生です。決して、言葉づくりを放棄してはいないのですが、もはや従来のキャッチフレーズを考える仕事にこだわりません。より創造の領域が広がったと言えます。それらの仕事が、世界最大級の広告賞「カンヌライオンズ」で賞を獲っていて輝かしい成果を生み出してもいます。
コピーライターというと、どうしてもアウトプッターや職人的イメージで捉えられがちですが、彼らや彼女らにはそのイメージはほとんどありません。ネオ・コピーライターとでも言ったらいいでしょうか。ネットメディアに精通しており、アイデア力も高く、「発想ビジネス」をしている感じがします。さきほどの、私のカオスのなかから「価値を発見する」といったビジネスに通底するところもあります。
ただし、さきほど大きなクリエイティブ・コミュニケーション機能を持った会社と書きましたが、ここが大きなポイントです。やはり若い時に、きちんとしたコピーライター修行時代を過ごしています。先輩たちから、「考える→書く→考える→書く」の厳しい訓練を組織的に受けている。単なる「企画屋さん」とはやはり違うように思います。
このネオ・コピーライターたちが、これから広告業界や広告情報産業やクライアント(企業・団体)を変えていく力になることは確実です。もっとこういった一派が増えていいでしょうし、そうでなければ、もはや広告は楽しいものにはなりにくいと思います。
そしてこの動きは、広告会社だけでなく、クリエイティブ機能を持ったり、プランニング機能を持ったりする会社にも沁み渡るように広がっていくでしょう。
コピーライターが時代や社会のニーズを取り込みながら、新しいビジネス創造へと動いている。そのことを知って欲しくて、連載4回目を書きました。あまりに誤解が多いのでと思いつつ。
言葉のプロということは、考えるプロであり、発想や発見のプロでもある。そのことも感じて欲しいという思いでした。さて次回は、「未経験からコピーライターになった方々」との座談会です。またお会いしましょう。
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