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36歳オールド・ルーキーのマイアミ・アド・スクール挑戦記

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マイアミ・アド・スクールとは?

(写真右)椎名和則
アートディレクター

日本の広告代理店にクリエイティブとして勤めた後、35歳にして一大決心して渡米。
現在はマイアミ・アド・スクールに在籍。OneShow, Clio等の広告賞を受賞。



こんにちは。今回から、2015年の4月から私が通っている、マイアミ・アド・スクールのレポートをしていきたいと思います。マイアミ・アド・スクールはアメリカのマイアミ発祥の広告に特化した専門学校です。現在はアメリカをはじめ、ドイツ、ブラジル、など世界中に16校が展開しており、それぞれの学校から毎年優秀なクリエイターを広告業界に排出している、世界的に著名な教育機関です。

僕はその中のニューヨークスクールのアートティレクター・プログラムに在籍しています。各スクールによって人種も言語も内容も違いますが、アメリカのスクールに関してはアメリカ人50%、留学生が50%といったところです。ちなみに在学中の日本人は私の知る限り一人しかいません。

今回は、世界中から生徒が集まるこの学校で、どのような教育プログラムがあるのかをお伝えします。また、私自身が入学を志した際に日本語での情報がほとんどなかったため、ここで情報を提供し、一人でも多くの日本人のクリエイターが海を渡り、活躍してもらえればいいなと思いレポートをすることになりました。

まず、マイアミ・アド・スクールは広告クリエイティブに特化した2年間のポートフォリオ・プログラムが組まれています。アートディレクターとコピーライターのコースがあり、世界中、幅広い分野の第一線で活躍するプロの講師陣を招き授業が組まれ、各ケーススタディをこなしていくことで、生徒はポートフォリオを制作し、卒業後は広告会社に即戦力で活躍できる人材を養成していきます。また、3か月の短期でプランナーやソーシャルメディアストラテジストのコースもあります。

1年目は、広告のコンセプトの立て方、アイデアの発想の仕方を体系的に学んでいきます。このコンセプトとアイデアの部分がマイアミ・アド・スクールの特徴であり、日本では学ぶことが難しい部分なので、今後詳細を述べていこうと思っています。

また、フォトショップやイラストレーターをはじめとしたアドビ系のソフトとともにデザインの基本を学んでいきます。ここで面白いのはグラフィック系の授業にも関わらず、コピーライターも一緒に授業を受けて制作していく事です。これは、これからのクリエイターは作ることに対してマルチな知識を身に付け、アートディレクション、ならびに映像やデジタルの分野での相互理解を深めることが必要だと捉えているためです。

また、アートディレクターも同様にコピーライティングの基本的な授業を受け、コピーはもちろんディレクションのスキルを見越した、言葉の整理整頓の仕方を学びます。各課題を進めていく中で、コピーライターとアートディレクターはペアリングされていきます。ここで興味深いのは、誰が優秀か、誰と相性が合うかなどがわかるようになってきて、いわゆる相方探しみたいな事が起こります。

2年目は、具体的な広告のケーススタディをこなしていき、アイデアの力で問題を解決するトレーニングをしていきます。例えば、アートディレクターとコピーライターがコアとなり、短期のストラテジープランナーやソーシャルメディアの学生と一緒に実際のクライアントに対してプレゼンテーションをする機会が与えられます。

また、学校の方針としてアワード・セントリック(広告賞中心主義)を掲げており、世界的な広告賞の参加が義務付けられています。授業の中では、講師の助言を受けながら、各賞のブリーフに沿ってアイデアから制作までをこなしていきます。

卒業前の最後の3四半期は3ヶ月毎に渡って(各校において若干期間の違いあり)、世界中の広告会社を対象にした、インターンシッププログラムが組まれており、研修生として実際の現場での経験を積んでいきます。

以上、ざっとした説明ではありますが、次回からより具合的な内容をお伝えできればと思っています。最後に、現在、私のいる「アメリカあるある」を紹介します。日本にせよ、海外にせよ、コミュニケーションが最も大事な要素の一つであることに変わりはありません。ほとんどの広告会社にはリフレッシュするための卓球台があり、忙しいながらもみんな「ピンポンやるか?」と誘い合って時間を見つけて楽しんでいます。