日本時間1月21日、ドナルド・トランプ氏が第45代米国大統領に就任した。就任前から政策の方向性のみならず、メディアとの向き合い方、自らの情報発信にも注目を集めてきたトランプ氏の大統領就任を広報・情報戦略、企業のリスクマネジメント、メディアの専門家はどう見ているのか?コミュニケーション、広報の視点で読み解く。
上野 征洋 氏
社会情報大学院大学 学長
現代社会の多様で複雑な事象を「社会情報学」の視点で分析し、市場と地域社会を舞台に新たな価値観の構築を目指すプロデューサー。「戦略の成否は情報・コミュニケーションにあり」が信条。情報分析で多くの課題解決を図り、経営資源を有効に再配分するマネジメント手法を実践してきた。キーワードはCSR、企業価値、公共性、社会関係資本など。事業構想大学院大学副学長。静岡文化芸術大学名誉教授。
理念なき就任演説だった。
その言説の大半は選挙中と同一の攻撃的なトーンで、融和や協調などアメリカを支える価値観は皆無だった。歴代大統領は多様性こそがアメリカの源泉であることを説いたが、新大統領はあえて分断を是認し、中学生にもわかるシンプルな表現で大衆迎合に終始した。とくにcarnage(虐殺)という酷い表現で社会の現状を形容し、それを救うというくだりは自己演出の極みでもある。従前の政治を貶めることで、自らを救世主のように際立たせようとする戦略のようだが、これは賭けでもある。さらにメディアを名指しで非難し記者を選別する手法は、賢明とは言えない。
早くもTPP離脱やオバマケアの撤廃に署名したが、代案は荒削りで国内外からの賛同は少ない。力で疾走する大統領だが、内外の不協和音は暫く続く。また政策も小さな政府をめざす共和党の保守思想とすべて軌を一にしているとは言い難い。身内の離反が起きる可能性もゼロではないだろう。
政治は言葉である。言説を弑(しい)する者は、自らそのリスクを負わねばならない。
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