1月21日(日本時間)、ドナルド・トランプ氏が第45代米国大統領に就任した。就任前から政策の方向性のみならず、メディアとの向き合い方、自らの情報発信にも注目を集めてきたトランプ氏の大統領就任を広報・情報戦略、企業のリスクマネジメント、メディアの専門家はどう見ているのか?日本企業の広報・コミュニケーション戦略への影響という観点から予測する。
ロス・ローブリー氏
エデルマン・ジャパン 代表取締役社長
35年にわたり日本に在住。複数の証券会社で上級管理職を経験した後、1995年にPR業界に転じ、ギャビン・アンダーソンのマネージング・ディレクターとして、M&Aや外資系企業の日本市場参入キャンペーンなどを手掛ける。プラップ・ジャパン専務取締役兼COOを経て、2010 年から現職。外資系企業のみならず、国内企業のグローバル広報戦略の実現に向けたアドバイスを提供している。
企業メッセージにも人々の不安を取り除く貢献示す必要性
どの新政権も新たな政策や方向性を打ち出すものである。しかし、今回においては、ソーシャルメディアのスピードと合わさって、一貫性に欠けた直感的なアプローチで通常の政治プロセスを無視するといった、これまでとは違う現実を伴うことになるだろう。
企業は大統領のTwitterをチェックするだけでなく、ワシントンDCで大統領の意見が実際にどのように政策に取り入れられ、また、その政策が企業にどのような影響を与えるのかを、これまで以上に時間と予算をかけてモニターし、分析する必要がある。
企業のメッセージには、前向きな行動を示すよりも、どのように米国の国益や地域の利益につながるかを具体的に表現することが求められる。例えば、「○○万人の雇用を生み出す」といった表現はマス層にとって分かりやすく、人々の心に響く。米国に進出している日本企業は、雇用や技術革新、並びに、グローバル化から生まれる人々の不安を取り除くために今後どのように貢献していくのか、常に一貫性のあるメッセージを発信していく必要がある。
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