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コラム

共感デザイニング

声をそろえて、感動する。

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【前回の記事】「これって広告?」はこちら


夏目和彦

アイ・エム・ジェイ/ディレクター/プランナー
愛知県新城市生まれ。2006年IMJ入社。デジタルマーケティングにおけるプランニングやディレクションを領域としながら、サービスデザインやプロモーション設計まで幅広く活動中。こう見えて1児のパパ。HCD-Net認定人間中心設計専門家。2014年度グッドデザイン賞「未来づくりデザイン賞」受賞など。


こんにちは。IMJ夏目です。

第1回のコラムを書き始めたのが昨年7月、この半年間で息子もすっかり大きくなりました。最近はハイハイをするようになり、チャイルドシートに乗せても泣かなくなりました。いやぁ、時が経つのって早いですねぇ…。

それはさておき、前回のコラムでは共感をデザインする上で重要なことをまとめた図をご紹介しました。

こちらの図のポイントは2点あります。

共通の課題を見つける。

言うまでもなく、すべての企業活動は生活者(顧客)の課題が起点となっています。生活者の課題に対して、有益なサービスや商品を提供し、その対価を得ることで企業活動は成り立っています。

では、これだけ様々なサービスや商品が溢れている現在、すでに生活者の課題はすべて解決されているのでしょうか?そんなことはないですよね。解決の難易度が高すぎるか、あるいは単に課題が顕在化していないだけかもしれません。

潜在的な課題を発見するために必要なこととは、生活者の声を聞き、行動を観察することです。そのためにインタビューやエスノグラフィーなど様々な手法があるのはご存知の通りです。ですが、私が最もパワフルだと感じる方法は、とても原始的ですが「自分たちがユーザーとなって課題を見つける」ことです。

ペルソナをつくってシナリオを考えて…というのは利用者をイメージする上で非常に有益な方法です。しかし、それだけではなく、課題の深さや深刻度を理解し、施策の解決度合いを素早く見極めるためには、自分自身やプロジェクトメンバーが課題に強く共感していることが最終的な施策の質を高めてくれたと感じることが何度もありました。

一方で、共通の課題として掲げたものに対して、企業としてそれが本当に取り組むべき課題なのか?という点も非常に大切です。
タートルタクシーの場合は、「暴走するタクシーをなくしたい」というのが共通の課題でした。利用者の視点では怖い運転をするタクシーを無くしてもっと安心して乗りたいというニーズがあり、事業者視点では事故や違反で運転できなくなるタクシーを減らしたいというニーズがありました。起点となるニーズは異なりますが、取り組むべき課題は同じです。

もし仮にタートルタクシーを、三和交通さんではない別の企業、例えば普段から速度違反や事故が頻繁しているタクシー会社がやった場合、どうなっていたでしょうか?おそらく、そのタクシー会社のSNSは炎上していたでしょう。
企業の理念、日頃の企業活動、利用者が感じるブランドイメージ、それらと乖離した課題を掲げてもすぐに表面的なものであると見抜かれてしまいます。

また少し話は変わりますが、ここ数年「ソーシャルグッド」という言葉がよく聞かれますよね。私の解釈では、掲げた課題の公共性が高かったり社会的意義が高かったりするものが、ソーシャルグッドと呼ばれると考えています。企業と生活者に「社会」を加えた三者の共通課題を解決する、つまり、売り手良し・買い手良し・世間良しの「三方良し」を意識することも、施策の影響力を高める上で重要だと思います。

次ページ 「同じ目線で取り組む。」へ続く