「顧客視点」のマス広告は可能か?

「マス」に最適化した時代の終焉

前回のコラム

では、昨年のWELQ騒動を起点に、ネット広告は「目の前にいる1人」の気持ちを本気で考えられているか、というテーマを考えました。何名かの方からフィードバックを頂きましたが、この延長にある議論として出てくるのが、ネット広告だけでなくマス広告においても、「顧客の気持ち」を考える重要性が忘れられがちではないか、という点でしょう。

昨年は特に、企業が実施した広告に対して、視聴者が怒りを感じ、炎上騒動になるというケースが明らかに増えた年でした。そういう意味では、テレビCMなどのマス広告をつくる際にも、「視聴者の視点」で考えることの重要性は明らかに高まっていると言えます。ただ、ここで難しいのは、マス広告と顧客視点が往々にして「相性が悪い構造」になりやすいという点です。

このたび、『

顧客視点の企業戦略

』という書籍を宣伝会議から刊行させて頂くことになり、その中でもマス・マーケティングと「顧客視点」の相性の悪さについて書かせて頂きました。

マス・マーケティング時代は、マス広告の影響力が非常に高かったため、すべてが大量生産大量消費に最適化されていった時代と言えます。「マスマーケット」に対して、「マスプロダクション」した製品を、「マス広告」を通じて売り込む。マス・マーケティング時代は、企業活動全体がこの「マス」というキーワードに最適化されていた時代と言えるでしょう。しかし、そうした顧客に対して企業側が極端に有利な時代は、インターネットやソーシャルメディアの普及により終わりを告げようとしています。

続きを読むには無料会員登録が必要です。

残り 1497 / 2131 文字

KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。

登録に必要な情報は簡単な5項目のみとなります

「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です

会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします

徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)
徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ