プロダクトのサービス化が、これからの商品開発を変える

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Brandon Hill
Founder & CEO, btrax, Inc.

San Francisco State University 工業デザイン学科卒業。日米の企業に対してブランディング、マーケティング、コンサルティング業務を提供。グローバル市場向けのデジタルマーケティングやソーシャルメディアに精通。新事業創造カンファレンス基調講演、経済産業省 始動プロジェクト公式メンター、サンフランシスコ市政府アドバイザー、Dream Gate Awardアドバイザー。

 

ここ数年でヒットしている製品にはある一定の法則がある。それは”サービス化”ができているということである。日本語で”サービス”と言うと、”カスタマーサービス”という表現からもわかる通り、ホテルや観光などの非物質的な価値のことを指す場合が多い。

しかし、アメリカではプロダクトとサービスの壁は非常に薄く、例えばオンラインサービスやモバイルアプリを”プロダクト”と呼んだり、逆に製品の中にサービス的要素が含まれているものある。では、サービスとプロダクトの違いは何なのであろうか。おそらく、その鍵は購入するモノの価値と時間の関係性にあると考えられる。

世の中の製品は大きく分けて、コモディティー、プロダクト、サービスに分類される。では、それぞれの価値と時間との関係を考えてみよう。

コモディティー
いわゆる消費財で、コンビニで購入可能なものが該当する。購入時にその価値が定められており、時間が経つにつれ、その価値が下がる。例えばトイレットペーパーは購入時に一番価値が高く、使うにつれその価値が下がっていく。

プロダクト
家電や自動車などのハードウェア製品を中心に、購入時とその後時間が経ってからの価値にあまり違いが生まれない製品。再販価格などは下がるが、ユーザーにとっての価値の変化はあまり大きくない。

サービス
購入時にその価値がはっきりとはしていなく、使い続けることでユーザーにとっての価値が上昇するもの。

オンラインサービスやアプリに多いケースだが、物理的製品にも「サービス」のカテゴリに該当するものが増えてきている。その代表的なものがスマホであろう。おそらく多くの場合、スマホは購入時よりもしばらく使い続けてからの方がユーザーにとってその価値が上がる。なぜならそこには撮りためた写真や、友達とのLINEでのやり取り、コンタクトリストが入っているからである。したがって、購入直後よりもしばらくしてから紛失した方が精神的なダメージが大きいはずである。

この”サービス化”の波が他の製品にも押し寄せている。例えば自動車であればコネクテッドカーであろう。EVコネクテッドカーのTeslaのすごいところは、購入時よりもしばらくしてからの方がその性能がアップすることだ。乗り始めた時には実装されていなかったはずのオートパイロット機能がシステムアップデートにより突如として利用可能になったりする。こうなってくるとネットに接続していない既存の車両との価値の差は歴然としており、サービス化されている製品の魅力は何十倍にもアップする。

実は、このプロダクトをサービス化させるアプローチは日本企業が苦手とするところであり、完璧に良いプロダクトを作ろうとすればするほど、ユーザー視点で使い続けるほどに価値が上がるサービスが作りにくくなる。

サービスデザインとはプロダクトにサービスの息吹を吹き込む手法であるが、今後日本企業が生み出すプロダクトに対して施していかないとグローバル規模での競争力はどうしても下がってしまうだろう。

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