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視聴者1億人以上のスポーツイベント 米・スーパーボウルでの広告を振り返る

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2月5日、米・ヒューストンのNRGスタジアムにて、アメリカ最大のスポーツイベントであるスーパーボウルが開催された。スーパーボウルとは、アメリカンフットボールのプロリーグであるNFLの優勝決定戦で、毎年その年の年間最高視聴率を記録する国民的イベント。今年はハーフタイムショーでレディ・ガガがパフォーマンスを行うなど話題も多く、テレビを通じて、このスポーツイベントを観戦・視聴した人は、歴代2番目の多さの1億1370万人を記録した。

スーパーボウルで毎年注目を集めるのは試合結果だけでなく、そこで流されるテレビCMだ。今年は49社の企業が出稿をしている。全米が注目するイベントだけに、そのメディア価値は高く、30秒の媒体費で500万~550万ドル(6億円前後)と言われている。

近年では、試合当日にCMを流すだけではなく、ソーシャルメディア上で先に話題をつくるケースも増えており、制作費と合わせると合計1000万ドル(11,4億円程度)かけるキャンペーンも出てきている。日本発の企業としては、任天堂が3月に発売となるNintendo switchの広告を出し、注目を集めた。

 

今年、特に注目されたのは、Wix.comのCM「Disruptive World」。YouTubeにて試合の前々日から映像が公開され、試合前の時点で、2260万回再生された。人気俳優のジェイソン・ステイサムとガル・ガドットが出演、「トランスポーター」等を手掛けたルイ・レテリエ監督によるアクションムービーとなっており、スーパーボウルにおいてFacebook LiveとYouTube Liveを初めて利用したキャンペーンとなった。

また、Facebookのプロフィール写真をCMの登場人物であるフィリックス・シェフに変えるだけで、毎週、抽選で選ばれた1名に1万ドルが当たるプロモーションを行った。

 

また、アンハイザー・ブッシュはバドワイザーのCM「Born the Hard Way」を放映。19世紀にドイツからアメリカに移住した共同創業者アドルファス・ブッシュの物語を描いた内容だ。大西洋の危険な航海を乗り越えたが、移民を受け入れない地元の人々から受けた対応に苦しみながらも、セントルイスにたどり着き、もう一人の共同創業者エベルハルト・アンハイザーに出会うストーリー。

スーパーボウルでの広告は、他にも移民について触れたものがあり、建築材を扱う84Lumberもメキシコからアメリカに移住した親子のストーリーを描いている。アンハイザー・ブッシュは意図的なものではない、としているが、トランプ大統領による政策に対するメッセージではないか、と話題を呼んだ。

 

コカ・コーラは、2004年にスーパーボウルで流したCMを再放送。2016年のリオ・デ・ジャネイロオリンピックでも放送されたもので、”America the Beautiful”という愛国歌を多くの人が歌い繋いでいく映像だ。英語、スペイン語、ケレス語、タガログ語、ヒンディー語、フランス語、ヘブライ語など代わる代わる多言語で歌われており、アメリカの多様性を認めるメッセージを発信した。

 

「フォーブス」など米メディアの報道によると、

1.意図的かの判断は難しいが、広告内で政治的立場を表明する企業がいくつかあった。
2.商品広告よりもブランド広告が多かった

という2点が指摘されている。前述の通り、トランプ大統領が就任直後ということもあり、移民について扱うデジタルコンテンツが全体の17%もあるなど、今年ならではの傾向が見えた。

スーパーボウルで流されるCMは、もはやアメリカのカルチャーの一つ。来年以降も、テレビCMの枠に留まらない、デジタルを駆使した最先端の映像コミュニケーションが期待される。