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「効果」を重視する、広告賞審査の舞台裏【アジア太平洋エフィー賞レポート】

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何よりも重視されるのが「広告効果」

はじめまして。マッキャンの松浦と申します。
今、シンガポールにてアジア太平洋エフィー賞(APAC Effie Awards)の審査をしています。
2次審査が今月22日~24日まで行われました。
現地から、審査の実際やエフィー賞の実態についてレポートします。

アジア太平洋エフィー賞の審査員

グローバルの広告賞では、カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルと並ぶほどに評価が上がっているのがエフィー賞なのですが、日本の広告業界ではまだそれほど知名度が高くないかもしれません。そもそもエフィー賞って何なのでしょうか?

エフィー賞(Effie Awards)は、その文字通り、広告効果のあるキャンペーンを表彰する賞です。アメリカに始まり、すでに49年以上の歴史もあり、現在では世界50カ国および5つの地域で開催されています。アジア太平洋エフィー(APAC Effie Awards)は、今年が4年目。

私は昨年に続いて2回目の審査員をしています。

この賞の特徴は、何よりも、広告キャンペーンの「効果」に重きをおいて評価をすることにあります。「Awarding Ideas that Work.(効果のあるアイディアを賞賛する)」、というエフィーのスローガンが表現しているように、何よりも効果を重視しているところがカンヌのようなクリエイティブの広告賞とは異なるところです。

したがって、審査での評価基準は、「効果」のウエイトが高くなっています。

こちらが、エフィー賞の審査基準と評価のウエイトになります。2週間ほど前に、オンラインで1次審査をしたのですが、その際にも1つのケースを採点するのに上記の4つの項目についてそれぞれ100点満点で点数をつけ、その点数を上記の比率で掛け合わせて点数がつくという手法です。したがって、効果重視とはいえ、効果だけではないのです。戦略的挑戦&目標設定、アイディア、アイディアの実行、そして効果、これらすべてが評価されるという賞になります。

2次審査の審査員は約40人

1次審査はアジア太平洋の各国で160人くらいがオンラインで行い、2次審査では、1次審査員のうち約40人が選ばれ、8つのグループに分かれて、シンガポールにて数日間にわたって審査をすることになります。

2次審査を始めるにあたって、審査委員長を務めるオグルヴィ・アンド・メイザーのワールドワイド・エフェクティブネス・ディレクターのAnthony Wong氏は、「世界に誇れるアジアのケースを選ぼう」と冒頭のあいさつをしていました。

審査委員長のAnthony Wong氏

オンラインで実施した1次審査でも、シンガポールでの2次審査でも、基本的には、ワードで記入されたエントリーフォームがベースになります。1つの応募ケースにつき約8枚、英語でびっしり書かれたシートを読み込んだうえで(というか、かなりの速読をしたうえで)、評価をします。もちろん書面だけではわからないため、ケースビデオと言われる数分の動画も見ます。ただし、あくまでも動画はサポート資料という位置づけであって、エフィー賞では記述されたシートがメインの評価資料になります。したがって、動画の中には効果についての説明は入れてはいけないという厳しいルールがあります。

2次審査では、まず全員がiPadに入れられている書面のケースを5~6分で読み込んだ上で、スクリーンに映写された動画を見ます。その後、各自の感想をディスカッションした上で、審査のスコアを記入する、という流れになります。審査員は、アジア各国で働くエージェンシー、クライアント、そしてアカデミックやジャーナリストなどが集まっていまして、まさに広告コミュニケーションを取り巻くリアルなステークホルダーが全員集合しているところに特徴があります。そこでのディスカッションは本当に興味深い!実際にどんなディスカッションが行われているのか、また、現場からレポートしたいと思います。

松浦 良高(まつうら・よしたか)
マッキャンエリクソン プランニング本部長 エグゼクティブプランニングディレクター

博報堂、上海博報堂、TBWA\HAKUHODOを経て、2014年12月より現職。アジア市場でのブランド業務や、7年間の中国駐在での広告業務経験、グローバルチームと連携したブランディング業務など、グローバル関連のブランド/マーケティング戦略構築業務に強い。カンヌ広告祭のセミナーは04年から参画し、グローバルの広告業界の動向の分析をしており、内外での講演も多数こなす。