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村上春樹『騎士団長殺し』過去最高130万部で発売、新刊をニュースとして届けたプロモーション戦略

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スマホユーザーをターゲットに「SmartNews」に広告

発売当日には読売新聞や朝日新聞、日経新聞、各都道府県の地方紙など計45紙に広告を掲載しました。深夜の発売がニュースや記事でも取り上げられましたが、全国一斉に出した新聞広告も“ニュースとして”届けられたのではないかと思っています(貨物列車脱線事故による配送遅延につき、北海道は発売日が一日遅れたため、厳密には全国一斉とならなかったのですが、そのことすらもニュースになったのは驚きでした)。

読売新聞

朝日新聞

日本経済新聞

インターネット上で“発売自体をニュースとして届けることで、そのままネットで買う”という流れを発売後につくれないかと考えました。そこで、ニュースアプリの「SmartNews」を活用しました。毎日約300万人が見ており、「読書」チャンネルでは新刊情報など書籍にまつわるニュースが提供されています。

今は誰もがスマホで情報を得る時代です。スマホ上で新作の情報に触れてもらうことは大きな課題でした。そんな中でスマートニュースさんから、アプリの起動時に全画面で表示される新しいメニューのトライアルに協力してもらえないか、という提案をもらいました。ニュースを見ようとアプリを起動された方へのアプローチですので、ニュースとして新作を届ける施策として最適だと考えました。

起動画面に表示された広告。

トップタブに表示される静止画広告。

発売当日0時、発売開始と同時に広告が出るようになっていたので、どこよりも早く「表紙を入れた広告」を読者にアピールすることができました。クリエイティブの制作は、企画段階からサポートを行うユニット「SmartNews Creative HUB」に協力してもらいました。「先入観を避ける」という当初の目的に照らして、広告画面は内容には一切触れず、最小限の情報だけに絞り込んでいます。ニュースアプリを立ち上げた際にあらわれるインパクトは想像以上で、当日特設サイトに来訪した人のうち半数以上は「SmartNews」経由でした。

新聞やテレビでは大きく取り上げられていても、情報収集はスマホしか見ないという層も増えてきており、こうした層にどうやって本の存在をアピールするのかが、出版社として難しい課題でした。実際に広告を出してみると、クリック率も他より1.5倍も高く、これまで届いていなかった層へ着実にアピールできた手応えを感じております。

「騎士団長殺し」発売までの時系列

2016年11月30日
新潮社が村上春樹の本格長編小説刊行を2月に刊行することを発表。「原稿用紙2000枚分」「書下ろし」「全2冊」といった概要が公表される。

2017年1月10日
新潮社ウェブサイト内に特設サイトオープン。タイトル『騎士団長殺し「第1部 顕れるイデア編」「第2部 遷ろうメタファー編」』、背表紙の書影と発売日を発表。書店、ネット書店での予約がスタート。

1月24日
初版部数が各巻50万部(計100万部)であることを発表。これは村上作品で過去最高の初版部数となった『1Q84 BOOK3』と同じ。

2月20日
発売に際して、第1部20万部、第2部10万部の事前増刷が決定した(計130万部)と新潮社が発表。

2月23日
NHK総合『クローズアップ現代+』にて特集『いきなり130万部!?村上春樹新作フィーバー』放送。紀伊国屋書店、TSUTAYAなどで24日0時の発売に向けてカウントダウンイベントが行われる。数多くのメディアが集結し、100人以上の行列ができる。

2月24日
北海道を除く全国書店で新刊発売。発行部数は130万部(第1部70万部、第2部60万部)。

2月25日
予定より一日遅れて、北海道でも発売。