コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

350万円の借金をして臨んだ自主映画が商業デビューの道を開いた(ゲスト:中野量太さん)【後編】

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脚本の中で登場人物が動き出すとうれしくなる

澤本:監督がつくる映画のタイトルはそれだけ見ると、気持ちふざけてるように見えるじゃないですか。『バンザイ人生まっ赤っ赤。』、『ロケットパンチを君に!』、『チチを撮りに』、『湯を沸かすほどの熱い愛』。ストレートに泣かせる映画のタイトルとはちょっと違いますよね。

中村:そうですね、『怒り』とかじゃないですもんね。

澤本:でも、泣いちゃうという。そのバランスは監督がもともと持ってらっしゃるバランスなんですか?

中野:関西人というのもあるかもしれないですけど、ストレートが嫌だというのはあると思います。このタイトルも実は見終わったらワーッとなるじゃないですか。そういう仕掛けをしたいし、一筋縄でいかないことをやりたがるというか。

澤本:これ使えなかったら切ってください。最後のところ、意見が2つに分かれてるじゃないですか。で、コピーが出た瞬間にあっと思う。僕はそれで正解だと思ってるんですけど・・・それで正解ですよね?

中野:澤本さんにもう1回見てもらうために言いますけど、<無音>

一同:えーー!!

澤本:本当!?

中野:見てください、よく。

澤本:えー、全然気が付かなかった!

中野:そうなんです、実は。

権八:はぁ〜あ、まだ見てないのに聞いちゃった(笑)。ま、僕はさておき、次回作の構想は既にあるんですか?

中野:そうですね。またたぶん家族のことをやるかな、ぐらいです。ただ、ずっと家族だけとも思ってなくて、恋愛や友情ものもやってみたいんですが、自分の中にないものを無理矢理というのはやりたくないんです。僕はまだ独身で結婚してないので、結婚して子どもが生まれたら、またそこに面白い価値観があるだろうから。何かによって、つくるものがまた変わってくるかなと思います。

権八:オリジナル脚本でいつも勝負されていますが、小説や原作ものは?

中野:じつは今、原作もので進めてるのもあるんです。でも、難しいですね。今日も帰って書かないといけないんですけど。

権八:その難しさは原作者と自分の感覚が違うと感じるからですか?

中野:一番は、僕は人物をつくり上げるのが好きということですね。それができれば人物は勝手に動き出すので。でも、最初から人物がいて、その人を動かすのはなかなか気持ち悪くて、言ってしまえば初体験をしてる感じなんです。原作ものを僕のテイストに変える作業が。

人が難しいですね。ストーリーはそんなに難しくないんですけど、人を自然に動かすのが難しい。その人が動き出すとやっぱりうれしいです。その人らしさ、人間らしさを見たときに僕らの心はキュンとなるんですよ。だから、今日だってお三方のその人らしさって何だろうって気になるし。そういうところがたった1人の感情というか、その人らしさが重なっていくと、1人の人物ができていくというか。

中村:ありがとうございました。根掘り葉掘り聞いてしまいました。今後の監督のご予定。ブルーリボン賞5部門5ノミネート、東京スポーツ映画大賞4部門5ノミネート。もうちょっとしたら結果が出ますね。ということで、ゲストは全国公開中の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』の監督、中野量太さんでした。ありがとうございました。

<END>

構成・文:廣田喜昭

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