【前回コラム】「箭内さん!箭内さんにも悩みってあるんですか?」はこちら—2016年を振り返ってみると、東京藝術大学の准教授になったことは、箭内さんにとって大きなトピックだったのではないかと思います。その後、いかがですか?
正直なところ、最初は「大変だな。やっていけるのかな」っていう気持ちでした。東京藝大における僕の価値って、「全速力で走っている現役がそのまま教える」っていうことだから、自分の仕事を減らさずにやっていかないといけない。広告の仕事を半分に減らして東京藝大に教えに行くんじゃ、僕は教える資格がないし、大学にとっても意味がないことなんです。現業の速度は緩めず、量は減らさずに、意外と真面目にやっていきたいと思っているところです(笑)。
学生たちと向き合う中でだんだんと気づいてきたのは、上の世代の人が若い人を否定したり批判したりしていても始まらないということ。始まらないどころか、その若い人たちがこれからの世界をつくるし、僕たち年寄りを養ってくれるのに、養ってくれる人たちを潰してどうするんだっていう気持ちが沸いてきたんです。
若い人たちがもっともっと面白くなって社会に出て行くことが、社会が強くなるというか、未来が輝くことなんだなと強烈に感じているんですよね。別に、自分が引退してバトンタッチしたよってことじゃなくてね。この世界を面白くしてくれる人たちに、(桃太郎の)きびだんご的な何かを渡すのが、「教える」っていうことなんじゃないかと感じています。「授ける」というと不遜なんですが、若い人に力をつけてもらうことしか、未来をつくる道はない。そのために自分は大学で教えているんだっていうことが、東京藝大に勤めて一年近く経った今、ようやく分かりました。
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箭内 道彦
1964年 福島県郡山市生まれ。博報堂を経て、2003年「風とロック」設立。タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」リクルート「ゼクシィ」をはじめ、既成の概念にとらわれない数々の広告キャンペーンを手がける。また、若者に絶大な人気を誇るフリーペーパー「月刊 風とロック」の発行、故郷・福島でのイベントプロデュース、テレビやラジオのパーソナリティ、そして2011年大晦日のNHK紅白歌合戦に出場したロックバンド「猪苗代湖ズ」のギタリストなど、多岐に渡る活動によって、広告の可能性を常に拡げ続けている。東京藝術大学非常勤講師、青山学院大学非常勤講師、秋田公立美術大学客員教授、福島県クリエイティブディレクター、郡山市音楽文化アドバイザーなども務める。
1964年 福島県郡山市生まれ。博報堂を経て、2003年「風とロック」設立。タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」リクルート「ゼクシィ」をはじめ、既成の概念にとらわれない数々の広告キャンペーンを手がける。また、若者に絶大な人気を誇るフリーペーパー「月刊 風とロック」の発行、故郷・福島でのイベントプロデュース、テレビやラジオのパーソナリティ、そして2011年大晦日のNHK紅白歌合戦に出場したロックバンド「猪苗代湖ズ」のギタリストなど、多岐に渡る活動によって、広告の可能性を常に拡げ続けている。東京藝術大学非常勤講師、青山学院大学非常勤講師、秋田公立美術大学客員教授、福島県クリエイティブディレクター、郡山市音楽文化アドバイザーなども務める。
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