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データを使い、限界を超える

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これまで広告・マーケティングの世界には、『解明できなくても仕方がない』と思われてきた、数々のブラックボックスが存在する。しかし、その「壁」を打ち破る、技術革新が生まれつつある。

日本でもDMPを導入する企業は増えているが、DSPで広告配信する際の最適化に用いられるなど、活用は限定的なのが現状だ。しかし、最近では広告出稿の前段階、マーケティングプランニングに用いるケースも増えてきているという。「0次分析」ともいうべきDMPの活用について、インティメート・マージャー 代表取締役社長の簗島亮次氏が博報堂DYメディアパートナーズの柴田貞規氏(データドリブンメディアマーケティングセンター データマネジメントプラットフォーム部部長)にその最前線を聞く。

簗島:最近DMP利用に関するニーズで多いのが広告配信の最適化に次いで、「0次分析」での活用です。DMPを入れてもログデータだけの分析では、アウトプットに限りがある。日本の大手リサーチ会社も調査パネルとクッキーデータの紐づけを行うようになりましたが、ログデータとアンケート調査など多様なデータを組み合わせることで、より深い顧客理解につながります。

柴田:私たちが最近、企業から相談を受けることが多いのがターゲットを再定義したいという要望です。デジタルが浸透する前に考えた、ターゲット設定やカスタマージャーニーは今の時代に改めて見直す必要があるのではないか、という課題感があってのことです。簗島さんの言うところの「0次分析」ともいう仕事は増えていますね。

簗島:分析の際にはどのようなデータを使っていますか。

柴田:当グループも独自のDMP「生活者DMP」を持っているので、主にこのDMPを活用しています。「生活者DMP」にはAudience-One(オーディエンスワン)のログデータの他、49万パネルの調査データ、購買データなどを投入してオンラインに留まらない、カスタマージャーニー分析に活かしています。

簗島:オンラインでビジネスが完結する場合は分析結果を広告活動に反映させやすいですが、オフラインの接点も重要な業種・業態の場合は、どのような対応をしているのでしょう。

柴田:オンラインでコンバージョンできる企業の場合、IDが紐づいたクッキーデータで分析しているので、そのIDを用いてヤフー、グーグルで広く広告配信が可能です。オフラインの接点も重要となる企業の場合、マーケティング投資全体の最適化といった話に及んでしまうので、まずは顧客とどんな接点があり、それぞれがどのくらい貢献しているのかを分析することから始めてみることが多いと感じます。

簗島:ネット広告だけでなくオフラインのチャネル、特にテレビを組み合わせた最適化に関する相談は多いですね。

確かにテレビの影響力は大きいので、止めたり、減らしたりという判断は難しい。まずはカスタマージャーニーを知ったうえで、各接点同士のパスの最適化から始めている企業が多いと感じます。

柴田:アクチュアルデータとパネルデータの両方を課題に合わせて、用いる必要があると思いますが、広告界はアクチュアル派とパネル派が分断してしまっている気がします。

簗島:特にデジタルに強い若手は、ログデータだけを見て、例えば必死にその顧客が男性か女性かを理解しようとしていたりする。でもアンケートをとって聞いてしまえば、そんなことはすぐにわかりますから。

柴田:それぞれの企業が蓄積してきたデータによって、その2派に分かれてしまうようです。しかしDMPも多様なデータ群を用いたほうがより活用可能性は広がります。

簗島:数年前までは、まずDMPを導入したいという要望が多かったのですが最近はやりたいことありきでDMP活用の相談を受けるケースが増えました。より求められることが、ソリューション化してきたというか。

柴田:一頃に比べて、DMPが話題になることは減りましたが、それだけDMPがマーケティングの施策ベースに取り入れられるようになったからだと思います。私たちもマーケティングプランニング、メディアプランニングと広告配信以外の部分でもDMPの活用を模索していくつもりです。

編集協力:株式会社インティメート・マージャー