コラム

ポートランドから、好き勝手に綴る、リアルコラム。

アメリカ陸軍と砂漠に行って、サメと泳いで、Nikeの名作スニーカーが生まれる。

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さてかれこれこの勝手気ままなコラムも第4話ですが、今回は私の偏見に満ちた内容ではなく、対談形式でお送りします。

夜ご飯をつまみながらのインタビューのお相手は、私が最も尊敬している日本人の一人、NikeのシューデザイナーのTom Minamiさんです。

アメリカで生まれたあと、大阪で育ち、アメリカの大学を卒業後に、Nikeにシューデザイナーとして就職しそのまま一筋13年。サッカーファンなら誰でも知っている、Nike Mercurial Vaporや、ロナウジーニョモデルのNike Tiempo R10などのデザインに携わり(サッカーファンの私にはヤバすぎる・・・)、私が先日CMを作っていた、全世界で品切れ状態中のNike Air VaporMaxのデザインにも2~3年の歳月をかけてかかわった、まさにシューズデザイン界のトップランナーです。

左がTom Minamiさん、右が筆者。インタビューは、デルタ航空のビジネスクラスで提供される日本食も手掛けるポートランドの日本食レストラン、Chef Naokoにて行いました。

Tom Minami (以後、T): お疲れ様!久しぶり!

Shinya Kamata (以後、S): 久しぶりです!こないだフットサルコートでばったり会いましたね!?(Tomさんも大学までサッカーをしていた、生粋の元サッカー少年。ちなみに私もこう見えて?学部時代はサッカー部に所属していた体育会系でした。)

T:そうだそうだ。

S:今でも覚えてるんですが、もう2年以上前、最初にご飯食べた後にコーヒー屋さんに入って、閉店時間になって追い出されるまでずーっと、歴代のスニーカーと年代別のサッカースパイクのデザインの話を2~3時間してましたよね。

T:そうやったね。(笑)

S:ここのマテリアル(素材)がどうとか、あそこのデザインがどうだったとか、Tomさんの裏話もあったりして、個人的にはあの時間、楽しすぎました。今回は、シューデザインというよりも、もう少し広い概念でアメリカと日本とのデザインアプローチの違いだったり、Nikeにおけるデザインへの考え方だったりの話を聞けたらなと思っています。

T:Nikeは比較的ゼロから新しいものを生み出す力を評価してくれるかな。例えば、商品を作っていく過程で、日本のメーカーだと、マーケティングやエンジニアが、売れているものから逆算したり、コスト的な観点から逆算して商品を作っていくことが多い印象がある。けれどNikeの場合はデザイナーの意見やストーリーが尊重されるかな。

S:それって広告業界における日米の違いと少し似てるかもしれないですね。うちの会社もあまり逆算しないというか、クリエイティブとして強いかどうかという意見がまず第一にあるし、時間をかけて議論されますね。クリエイティブエージェンシーだから当たり前といえば当たり前なんですけど。

Tomさんの所属するデザイン部門の中のイノベーション部署 (以下、Innovation Dept.) はNikeの心臓とも言えると思うんですけど、他の部署と何か違いはあるんですか?

T:Innovation Dept.には、75%は与えられる仕事で、25%は自由裁量で自分の好きなように充てられるルールがあります。例えば僕が靴以外のアパレルのデザインのアイデアを持っていれば、部署を超えて好きにチームを構成できたり、社内のリソースを使うこともできて。

S:へぇ、そんなルールあるんですね!変な話、プロダクトデザインじゃなくてもいいんですか?例えばサービスとか?

T:そうそう、全然OK。与えられたアサインメント(仕事)はプロセスもガチガチで、決められた期日を守らないといけないし、色んな人から違う意見が出たり、プレゼンがあったり・・・。それだけに没頭しないといけなくなると、人間ってどうしてもストレスが溜まりやすいと思うんだいけど、自由裁量の25%は自分のアイデアだけにより情熱を持って取り組めるし、時間もプロセスもある程度自由。ふたつの要素がいい感じにバランスが取れていて、すごく有意義に過ごせてます。

デザインの開発秘話を教えてくれるTomさん

S:それは懐深いですね、さすがだなぁ。

次ページ 「あと、ミーティング。ミーティングが多いのは」へ続く

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