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韓国のDSP大手が日本に進出、訪日観光客向け広告市場に照準

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韓国のDSP事業者であるWider Planet Inc.(ワイダープラネット)は、2017年3月に日本法人を設立、7月より本格的に日本市場でのビジネスを開始した。韓国市場を対象にインバウンド向けプロモーションを行いたい日本企業の活用を見込む。来日した、同社の創業者兼CEOであるク・キョシク氏に韓国のデジタル広告市場の現状や日本市場での展望について話を聞いた。

—会社の成り立ち、事業概要とは。

Wider Planet Inc.
創業者兼CEO
ク・キョシク氏

私たちは2010年に韓国・ソウルにて設立し、DSPとDMP領域で事業を展開している韓国のテクノロジー企業です。韓国最大の広告配信プラットフォームである「TargetingGates」が当社の主力事業であり、このプラットフォームはPCモバイルあわせて2万以上のパブリッシャーをカバーし、現在までに韓国国内を中心に5000を超える広告主に利用されてきました。

—日本市場での事業展開とは。

日本国内では2つの事業を展開していきます。ひとつが私たちが持つビッグデータ分析技術を生かし、日本企業の広告を国内のメディアに向けて配信するサポートを行うこと。もうひとつは、日本企業の広告を韓国国内のメディアに向けて配信する際のサポートを行うことです。特に直近では、後者の事業に期待を寄せています。

2017年1月~4月の訪日外国人数は韓国が226万8千人で217万7千人の中国を抜いて1位という結果に。訪日観光客の中でも韓国からの来訪者は増加しており、韓国市場向けにインバウンドプロモーションを行いたいと考える企業が増えているからです。

私たちは日本法人を設立する前の2015年より、早稲田大学基幹理工学部情報理工学科の酒井哲也教授とターゲティング広告における消費者の行動パターンについて共同研究を行い、その結果を広告配信の精度向上に役立てるなど、日本に研究開発の拠点を置いていました。

当社のCTOがマイクロソフトで働いていたことがあり、その時のネットワークを通じて酒井氏と知り合ったことが共同研究に至るきっかけだったのですが、韓国の約2倍の人口の日本市場での事業展開を進める上で、氏との共同研究の成果は大きく役立っています。

—韓国のデジタル広告市場の現状とは。

韓国の広告市場の規模は、約110億ドルでその内、上位2位にはテレビとデジタルが位置してきました。その内訳はテレビが約45億ドル、デジタルが40億ドル弱で、韓国国内ではここ1~2年でデジタルがテレビを抜いて1位になると言われています。
以前のデジタル広告は、ECを始めとするダイレクトビジネス企業の出稿が多かったですが、最近はサムスン、P&Gなどの企業によるブランディングを目的とした出稿が増えつつあるのが、特長です。

—「TargetingGates」は具体的にどのような商品なのか。

「TargetingGates」は、リターゲティング、ユーザーターゲティング、コンテクスチュアルターゲティングの3つのソリューションを提供しています。ユーザーターゲティングでは、ユーザーの興味・関心を分析したうえで、203のカテゴリに分類。それぞれの広告主の商材に興味を持つであろうユーザーにターゲティングした広告配信が可能です。

またコンテクスチュアルターゲティングでは、Webページのコンテンツを分析してコンテンツ内に掲載されたキーワードとコンテンツのテーマ分類に応じたターゲティングが可能です。これらのソリューションにより、日本を訪れるであろうユーザーの中でも自社の商品・サービスのターゲットになるであろう人たちに絞り込んだ広告配信が可能になります。

—ソリューションの他社にはない強みとは。

私たちは、2016年9月から韓国内のクレジットカード会社とデータ連携を開始しています。

カード会社から匿名化した状態でカードの利用履歴データの提供を受け、私たちが保有しているPCやモバイルでのユーザーの行動と紐づけ、広告配信に活用してきました。

韓国は国策としてクレジットカードの利用を推進してきたので、カードの利用頻度が高く、日本を訪れた際も買い物時のカード利用が予測されます。カード利用を通じ、日本国内でのオフラインの行動も把握できれば、より適切な広告配信を行うことも可能になると考えています。

クレジットカード会社とのデータ連携は実現に至るまで1年ほど要しましたが、韓国ではカード会社各社がデータビジネスに力を入れ始めており、そこで当社のデータ解析の技術が評価され、連携に至りました。
私たちの事業の中心は現在はDSPですが、中長期的にはビッグデータ解析の技術力を武器にしたビジネス開発も考えています。