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アウトブレインCEOに聞く「コンテンツマーケティング」、世界の潮流

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独自のアルゴリズムにより、コンテンツに興味を持っていると思われる潜在顧客の一人ひとりにパーソナライズされたコンテンツをリコメンドするサービスを提供する米国Outbrain(アウトブレイン)社。
7月13日に東京アメリカンクラブで開催された、同社主催の「アウトブレイン パブリッシャーサミット2017」に登壇のため来日した、CEOのヤロン・ガライ氏に世界のコンテンツマーケティング、ネイティブ広告の潮流を聞いた。

Outbrain Co-Founder&CEOのヤロン・ガライ(Yaron Garai)氏。7月13日に東京で開催された「アウトブレイン パブリッシャーサミット2017」に登壇した。

—最近のコンテンツマーケティングやネイティブ広告を取り巻く、グローバルの潮流とは。

私たちアウトブレインは設立以来、一貫してオーディエンスとの間にエンゲージメントを築く重要性を信じてきました。パブリッシャーはコンテンツを介してエンゲージメントを構築することで、結果としてマネタイズを実現することができるのです。

またマーケターが潜在顧客と接点をつくろうと考える際にも、このエンゲージメントの考え方は重要です。これまでの広告はユーザーのコンテンツ体験を中断(Interruption)し、割り込んでくる存在でした。しかしアドブロック機能を使うユーザーも出てくるなど、“Interruption”の広告の時代は終焉を迎えつつあると考えています。

この環境下でユーザーと接点をつくり、さらにエンゲージメントを築くためにはどうしたらよいのか。そこで出てきたのが、ネイティブ広告です。ユーザーの生活動線上に入り、そのユーザーが関心を持つであろう、コンテンツであることがネイティブの定義と考えます。ところが例えば見た目が記事風なだけで、ユーザーにとって真にネイティブな存在になっていないものも見受けられます。しかし、いま新しいディマンドを創造しうるのはコンテンツ体験を中断する広告ではなく、ユーザー自らが読みたいと思うストーリーを持ったコンテンツだと私たちは考えています。

アウトブレインではマーケターの方たちに、ユーザーの興味・関心の領域がどこにあるのか、そして自分たちが発信するメッセージは誰に、いつ、どんな場面で届ければ読んでもらえるのかというインサイトを提供します。どんなコンテンツであれば、ユーザーがブランドとエンゲージをしてもよいと思ってもらえるのか、アウトブレインを活用すれば、その示唆を得ていただくことができるはずです。

—ここ数年、コンテンツ消費の分散化が加速する一方です。この環境にパブリッシャーはどのように対応すべきでしょうか。

コンテンツが消費される場が格段に増え、世界的に見てコンテンツのクラスター化が進行しています。この環境では、一人ひとりのユーザーの視点に立った、パーソナライズしたコンテンツの配信がエンゲージメントを深める上で必要であり、私たちはこの領域の技術開発にこれまで1億5000万ドル以上の投資をしてきました。

コンテンツを届けるチャネルが増え、コンテンツのクラスター化が進んでいる環境でパブリッシャーはどう、ユーザーとのエンゲージメントを深めればよいのか。確かに非常に難しい問題です。だからこそ、この課題を乗り越えることができたパブリッシャーには大きな成功の可能性があるはずですし、メディアビジネスは非常に面白い時代を迎えていると思います。そして私たちは、新しい挑戦を続けるパブリッシャーの方たちに技術を通じて貢献していきたいと考えています。

例えば、最近リリースした「トータルバリューレポート」というダッシュボードを使うと、流入元単位での収益性も把握できます。PVだけを指標にすると、とにかくどこにでもコンテンツを出すべきという判断をしてしまうかもしれません。しかし、この機能を使うとトラフィックの流入元別にユーザーとのエンゲージメント、さらにその先の収益性まで可視化することができるので、パブリッシャーの方たちは自分たちのメディアの価値向上に寄与する場を適切に選ぶことができるようになります。

—潜在顧客と接点をつくり、需要を喚起するプロセスの中では、それぞれ異なるコンテンツが必要となるのではないでしょうか。

本来はユーザーの態度変容のプロセスに応じた適切なコンテンツ配信が必要なのですが、ユーザーとの最初の接点は、コンテンツを介した自然な形だったにも関わらず、その後すぐに購入を促すオファーをしてしまっているケースもが少なくありません。

ユーザーがカスタマージャーニーのどの段階にいるかを踏まえたコンテンツ配信が必要ですし、その配信の技術はアウトブレインが強みとすることのひとつです。

具体的なケースをご紹介しましょう。米国で行われた女性刑務所を舞台にしたNetflixの人気ドラマ「オレンジ・イズ・ザ・ニュー・ブラック」のプロモーションでは、まず「The New York Times 」が米国の女性刑務所の現状をレポートする編集記事を制作・配信。そこでは特にドラマについては触れていません。次に、その記事を読んだ人だけを対象に「オレンジ・イズ・ザ・ニュー・ブラック」を紹介する記事を配信したところ、大きな成果をあげました。

インターネットが登場し、ユーザーが購買に至るまでの情報収集行動のプロセスは増えていますので、そのプロセスを理解したコンテンツマーケティングが必要とされていると言えるでしょう。

—日本市場の今後の展望をお聞かせください。

日本でもすでに700を超えるマーケターの方にアウトブレインを利用いただいていますが日本には、たくさんの素敵なストーリーを持ったブランドがあります。そこで、より多くの企業のコンテンツマーケティングのご支援ができればと考えていますし、また私たちのグローバルのネットワークを活用し、海外進出を考える企業の方にも活用をいただけたらと考えています。