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花王×パナソニック対談:後編「世界一見る目の厳しい消費者が選ぶ広告賞」

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審査員は「世界一見る目の厳しい消費者」

—ほとんどの広告賞は広告クリエイターや広告主など、いわば業界内で審査が行われるのに比べ、JAA広告賞は一般の消費者審査員の選考を経て受賞作品が決まる点がユニークですが、どのようなイメージをお持ちですか。

楳谷:審査基準が「感性・理性・創造性」ですよね。感性が好感・共感で、理性が分かりやすさ、創造性がオリジナリティ。創造性をどう評価いただいているかはともかく、分かりやすさや好感・共感できるかを見てくださるのは、業界人にはない生活感覚で選んでくださるということでしょうから、価値がありますよね。

それに、審査員になりたいと思う人は、広告におけるコミュニケーション活動に興味があり、自分は鋭い感覚を持っていると考えて応募してきたはず。つまり審査員は、日本市場という世界一見る目の厳しい市場における消費者の代表です。そう考えると、僕らの気も引き締まるし、選ばれることの名誉もとても大きいと思います。

井上:広告のプロが選考する賞と比べ、本当にお客さまが共感してくださるかがポイントですよね。最近はお客さまが自分で評価・発信するなど影響力を持ってきているので、JAA広告賞の考え方は時宜にかなっていると思います。

—JAA広告賞の受賞作のラインアップを見ると、他の広告賞とは一味違うことも魅力だと思います。消費者に選ばれた賞なので、トップが喜ぶという話も聞いたことがありますが、いかがでしょうか。

井上:私たちが報告を上げる時も「消費者に選ばれたんです」ということを強調しますが、やっぱり喜んでくれますよね。

JAA広告賞の芳賀康浩審査員長も、「日本の消費者は品質に厳しいと言われているが、広告にも厳しい」「消費者は広告視聴のプロフェッショナルである」と語っています。そんな消費者から今回、雑誌広告部門と屋外・交通広告部門の最高賞であるJAA賞グランプリに選ばれたそれぞれの広告についてお聞かせください。

2016年度JAA広告賞で屋外・交通広告部門「JAAグランプリ」に選ばれたパナソニック「見えない方がいい広告。」

楳谷:ポスター広告の媒体特性は、同じお客さまが何度も見られる可能性があることです。その広告が季節の変化により、緩慢に日々変わっていくという、気の長いアイデアを評価いただけたことを嬉しく思います。

雑誌広告部門「JAAグランプリ」を受賞した花王「むちゅうって、よごれることだ。」

井上:これは、贈賞式のスピーチでもお話ししたのですが、この広告を企画したのは花王の広告作成センターの「ママ・コピーライター」です。2人のお子さんを育てながら、仕事に取り組んでいます。なかなか大変な毎日だと思うのですが、働き方改革の手本になるような仕事の工夫、やりくりをしています。そんな彼女が子どもさんとのふれ合いの中で発見したこと、感動したことが発想の原点になっていて、審査員のコメントからも、その点が評価されているのが、うれしいです。

「広告は投資」といわれています。その投資効果を数字で明示しなければなりません。しかし、その一方で、広告は感性に訴えるものであり、感情を揺さぶるものでなければなりません。こうした、数字ではなかなか捉えることのできない領域について、広告賞がその役割の一端を担っているのだと思います。

JAA広告賞についてはこちらを参照