クライアントの皆さま、その仕事、競合プレゼンから指名にしませんか?

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【前回】「「ぜんぶ俺のせいだ。」― 自分を過大評価する病の予防策を公開」はこちら

中尾孝年(なかお・たかとし)
電通 クリエイティブディレクター

1970年生まれ。京都府出身。広告史に残る話題作、AKB48江口愛実を考案。メディアをまたいだ立体的なコミュニケーションデザインを構築し、新しく斬新な仕組みの広告を発信して、広告業界以外からも注目を集めている。(主な仕事) 江崎グリコ/アイスの実「江口愛実」、POCKY「デビルニノ」「CM二宮」「YMO」、サノヤス・ヒシノ明昌/企業CM「造船番長シリーズ」、アストラゼネカ塩野義製薬/コレステロール値啓発「貼り紙篇」「マルチエンディング篇」など。


いよいよ僕のコラムも、今回が最終回となります。

「面白い」をテーマにした本の出版を記念してのコラムなんだから、やっぱり「面白い」コラムにしないとネ〜なんて思って書いたもんで、他のアドタイのコラムと比較すると「何ふざけてんねん!」って感じに見えちゃいましたよね。

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でもね、めちゃめちゃ真面目になって、不真面目なことを考えるのが僕らの仕事なんです。だから最終回も「最後くらいは最近の事例などを交えた話にしてください」というリクエストに反して、なるべく面白い話で締めたいと思います。

あっ、面白いというのは、著書にも書いた広義での「面白い」ですからね。単純にギャグ的なオモロイ話をするわけではありませんのでご安心を。

実は、前回のコラムを関西時代に、たいへんお世話になったクライアントが読んでくださっていたそうで「本の内容は良かったけどコラムの内容は( ̄ _ ̄)ですね」って温かいメッセージをいただきました(笑)。

アドタイの読者にはクリエイターだけじゃなくてクライアントの方もたくさんおられますもんね。

てな訳で、最終回のテーマは本の中に書ききれなかった「クライアントの皆さんに、ぜひともお伝えしたいこと」にしてみたいと思います。それは…第2章に少しだけ書いた「競合プレゼン廃止のススメ」です。

クライアントの皆さんが競合プレゼン形式をとる一番の理由は、「広告代理店やクリエイターから選りすぐりの案が集まるので、その中からベストなものを選びたい」という思いですよね。

でも残念なことに、「競合プレゼンではベストな案は集まらない」と僕は思っています。「ベストな案=本当にやるべきこと」だとすると、競合プレゼンで集まる案は「最もやるべきだと思う案」ではなく「最も採用されそうな案」に偏るからです。

さらに、「本当にやるべきことは何か」を突き詰めるためには、まず「クライアントが発見した課題=オリエン」から見つめ直す必要があります。

なぜならオリエンでは、クライアント側の視点から発見された課題や、結果として現れた現象を解決課題に設定してしまうケースが多々あるからです。

真の課題を発見するためには、クライアント側の視点は完全に排除した「100%消費者側の視点」で一度問題を見つめ直す必要があり、そのために我々広告代理店などのパートナーが必要となるわけです。

ところが競合プレゼンになると、案を決定する基準が「どれだけ鮮やかにオリエンに答えているか?」になります。その前に必要な本当の課題発見とオリエンの見つめ直しが抜け落ちてしまうんですね。これでは最高の提案などできるはずがありません。

僕も若い頃は、社内での立場を強くする必要もあり競合プレゼンでの勝利、勝率にとてもこだわっている時期がありました。むちゃくちゃ頑張って競合プレゼンで1年半無敗って時期もありました。ちょうど中部支社にいた頃です。

でもその時に、気付いたんです。「あれ?勝つ提案をしてる俺って、もしかしてクライアントのことをちゃんと考えてないんじゃね?」って。

それから思いを改めて、勝つ提案ではなく「本当に良い提案」をするように生まれ変わりました。「良薬は口に苦し」ってことわざがあるように、クライアントにとって本当に必要な「本当の良い提案」は時には耳障りが悪く、気に入っていただきにくい案であることが多々あります。

それでも、そのことも含めて説明プレゼンをするというのが、今の僕の競合プレゼンでのスタイルになっています。

先日、東京に来てからお世話になっているクライアントの広告担当の方と飲む機会があって(それこそ名前を言えば誰でも知っている、日本の広告を牽引してこられたレジェンドのような方なんですが)、その方も全く同じことをおっしゃっていて強烈に感動しちゃいました。

クライアント側なのに、このことに気付いてるって本当にもう奇跡のような凄いことなんですよね。だからそのクライアントは、日本の広告界を代表する凄いアウトプットをず〜っと、実現してこられたんだなって納得しちゃいました。

僕がお世話になっている江崎グリコさんも、日本の広告界を牽引する企業の一つですが、やっぱりこのことをちゃんと理解しておられていて、競合じゃなくて指名で、じっくりじっくりお互いに話し合いをしながら広告をつくるというスタンスをとられています。だから(残念ながら僕が担当じゃない広告も含めて)、毎回さまざまな話題作を世に送り出すことができるんだと思います。

【パピコ間違い探しCM3つ篇】
パピコを堅そうに食べる様子など3つの間違いを含んだCMで、「パピコはガリッは間違いです」とアピール
(広告主:江崎グリコ)

このコラムを読んでくださったクライアントの皆さま、その仕事、競合から指名にしませんか?

そして僕の著書「その企画、もっと面白くできますよ」を参考にして、その仕事、もっと面白くしてみませんか?

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