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デーブ・スペクター、誤植を語る

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「牛丼屋で彼女に『すきや』と告白したら『まつや』と言われた」「シュワちゃん離婚で一言→ ああなると・しょうがねっかぁ」「プリンセスは不倫せす」――。クールギャグの第一人者との呼び声も高いデーブ・スペクター氏が語る渾身の誤植論。

ギャグは誤植から生まれる?

—今回の特集は、誤植や校正・校閲をテーマとしているのですが、テレビでご活躍されている印象が強いデーブさんに、そもそも誤植の経験はあるのでしょうか。

誤植って、テレビで言うと訂正ですよね。間違いの多い子ども番組「訂正てれびくん」(笑)。

—デーブさんから見て、誤植はなぜ起こってしまうと考えていますか。

日本語って、発音は同じなのに意味が違う言葉がたくさんあるじゃないですか。だから漢字の間違いはすごく起こりやすいですよね。それにテレビ局の人もそうですが、新聞社の記者も雑誌社の編集者も、みんな疲れたり寝不足だったり焦ったりしている。だからじゃないですかね。

でもメディアじゃなくても、日本って英語のスペルミスが多いんですよ。それこそ食堂やレストランのメニューなんかは誤植だらけ。とんでもない英語もありますからね。日本は英語の誤植が多い国として海外でも有名なのですが、最近は中国がそのポジションを奪おうとしています。急速に国を発展させようとしているから、みんな焦っていて間違えちゃうんでしょうね。

僕の場合は、日本語をわざと間違えてギャグにしていますが、そういう意味では、誤植のおかげでダジャレが生まれていると言えるかもしれない。例えば、パソコンで「長髪」と打ったのに「挑発」って変換されるじゃないですか。それによって「金正恩がショートカットなのに長髪」「刈り上げなのに長髪行為ってどういうこと?」といったギャグを思いついちゃう。日本語ってギャグに一番向いているかもしれないと思いますね。

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—それにしても、デーブさんのギャグを聞いていると、日本人よりも日本語をうまく使いこなしているように思えます。

だって日本語は難しくないですからね。間違えてもいいから。英語だと間違いは間違いなんですけど、日本語は間違っているかどうかわからないグレーゾーンが多いんです。「さようなら」だって「さよなら」でもいいし、そういうどっちでもいい言葉がたくさんありますから。ちなみに、小田和正が恋人と別れ話をして「さよなら、さよなら、さよなら」と言ったら、「一回でいいのよ」と言われたという話もあります。

デーブ氏が誤植をしない理由

—デーブさん自身が誤植をしないように気をつけていることはありますか。

あるある! Twitterって投稿した後に編集できないじゃないですか。間違ったものをツイートしちゃったら、削除するか、そのまま我慢して載せたままにするかのどちらかしかない。だからツイートするときは、すごく慎重になるんです。間違えたくないから、絶対にTwitterの投稿画面に直接打ち込まない。エバーノートとかにまず書いて、コピペするようにしています。

ツイートするときも、もちろんスペルはすべて確認しますし、細心の注意を払っています。安倍総理の「倍」なんかはよく間違えられますが、「安倍総理とトランプ大統領の電話会談が増えているためファミリー割引の導入へ」といったツイートをする前には必ず確認しますね。そりゃあ、面倒くさいですよ。面倒くさいけど、そういうことが大事だと思っていますから。

—ちなみに、デーブさんのTwitterのフォロワー数は145 万人と、すごい人気ですね。

うっかり失言しちゃうソーシャルメディア「つい言ったぁ」。たぶんギャグしか載せてないからでしょうね。僕は近況報告なんか絶対にやらない。個人の話なんてしてもつまらないじゃない。他人が食べたパスタとかどうでもいいじゃないですか。

僕にとってTwitterは、自分のデータベースでもあるんです。何かのテーマでギャグを考えたりするときに、過去のツイートを遡ってギャグを探したりするんです。毎日ギャグを考えていると、ほとんど忘れていますから。例えば、いまラーメンが食べたいんですけど、検索してみると僕の過去のツイートがこんなに出てくるんですよ。

「会社のトップが食べる麺類→CEOラーメン」「よく撮られる食事→インスタラーメン」「ラーメンに入れ忘れた→そうナルト思った」「神様:これから頂く麺類に感謝します。ラーメン」。

僕の場合は、誰でも思いついたり、言えちゃったりするような当たり前のことをギャグにするのは避けています。ちょっと難しかったり、ひねりを入れたり、エッジの利いたギャグを言っているつもり。誰でも言えるギャグなんて、つまらないじゃないですか。とくに最近はなるべくハードルを上げているし、プレッシャーはますます強くなっている気がします。

ときどきオチが思い浮かばないこともありますが、まあ、学生時代に通信簿に「オチ付きがない」と書かれていましたからね。

……「デーブ氏がギャグを連発できる理由」「出版業界に対して物申したいこと」「プロは表現力で勝負するべき」など、続きは『編集会議』最新号の「誤植」特集をご覧ください。

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