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ヤングスパイクスPR部門初代ゴールドは「1ビジュアル・1コピー発想」で勝ち取った

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他国ペアはPR会社出身者ばかり。広告会社出身の僕らにできることは?

課されたお題は、災害や経済的な理由で家がない人たちに住宅を供給するNPO「Habitat for Humanity」の認知を高めるPRキャンペーン。予算は1万ドル。

事前に審査のクライテリアが発表され、そこには「クリエイティビティが40%」と記載されていました。ここに、僕らの勝機があると思いました。他の国の代表はPRエージェンシー出身者ばかり。私たちはアドエージェンシーなので、緻密な堅い施策よりも、アイデアがシンプルでわかりやすいものを重視しよう、と考えました。

普段私たちは悩みに悩んでアイデアを絞り出すタイプなのですが、今回はオリエンを聞いた直後に、谷脇が「こういうタイミングだったら、家がない人の気持ちがわかるんじゃないか」と言ってきました。その気づきがとても良かったので、その1、2時間後にはコアアイデアを決定し、じっくりとプレゼンの準備をすることができました。

そうして、私たちが提出した案は「I’M HOMELESS TODAY.」

飛行機が欠航になり、空港で一夜を過ごす人たちに、「I’M HOMELESS TODAY. でも今日一日だけでなく、寝床のない苦痛に毎日耐えている人たちがいる」というメッセージが書かれたブランケットを配るという案。

「家を失くす」という疑似体験をする唯一のタイミングで、ホームレス生活を自分ごと化させるという狙いです。さらに、その場で募金をすると枕も貰えることになっており、認知拡大だけでなく行動喚起にも一役買っているという仕掛けにしました。

もちろんPR部門なので、その場の体験者に効くだけではなく、メディアでの波及力も重要です。悪天候による大規模な飛行機キャンセルが発生すると、ほぼ確実にテレビ局が空港に押し寄せます。「ニュースになる確度の高さ」という意味では、この案に自信を持っていました。また、ニュースとして発信される写真が、それを見るだけで言いたいことが伝わる「一枚絵」となるようプラニングしました。

そして、プレゼン後の質疑応答の際にも感じましたが、PR部門は特に「実現可能性」と「持続性」の2つが重視されているのではないかと思います。1万ドルという極小バジェットで、本当に実行可能なキャンペーンなのか?世界各国で、長期間にわたって実施可能なのか?

この点を考えたときに、「ブランケットをつくる」というシンプルな仕組みに落とし込んだことが、ゴールドという評価につながったのかなと思います。

次回は、ヤングカンヌ2016とヤングスパイクス2017、2回の代表経験を通じて得た学びをシェアしたいと思います。

関谷“ANHELO”拓巳
TBWA\HAKUHODO アクティベーションプラナー、コピーライター

1989年栃木県生まれ。東北大学大学院卒業後、2014年博報堂へ入社。
2017年よりTBWA\HAKUHODOへ出向。
受賞歴:2016 Young Lions PR 国内選考 GOLD、2017 Young Lions PR 国内選考 SILVER、2017 Young Spikes PR GOLD、2017 販促会議コンペティション 審査員個人賞/協賛企業賞。

 

谷脇太郎
博報堂 アクティベーションプラナー、コピーライター

1991年愛媛県生まれ。一橋大学卒業後、2014年博報堂へ入社。
2017年よりコピーライターとして第一クリエイティブ局に異動。
受賞歴:2016 Young Lions PR 国内選考 GOLD、2017 Young Lions PR 国内選考 SILVER、2017 Young Spikes PR GOLD。