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コラム

クリエイティブシティ アムステルダムから送る「越境のススメ」 

広告は未来をデザインするものであってほしい

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EVカーも実はアムステルダムがリードする?

日本勢でEVカーといえば、密かに注目しているのがトヨタ。もちろんオランダでもトヨタの車はよく見かけますが、当然ながらトヨタのEVは見られません。しかし、2017年の「International Consumer Electronics Show 」(CES)という、米国最大のコンシューマーエレクトロニクス関連の展示会で発表されたのが、こちらのEV「TOYOTA CONCEPT-愛i」。

トヨタのEV「TOYOTA CONCEPT-愛i」

このクルマは「人を理解し、共に成長するパートナー」という触れ込みで発表された、いわゆるコンセプトカーです。ドライバーの特徴をクルマ自体が覚えて進化していくというのですが、このコンセプトカー、モーターショーではなく、当時(2017年1月)CESで発表されたのが面白いなあと思っていました。そして何を隠そう、実はこのクルマの開発に携わったのが、今回ご紹介するアムステルダムのクリエイティブシーンを代表するTellart。「デジタルテクノロジーを駆使して、未来を作っていく」という世界のトップを独走するデジタルデザイン集団です。

Tellartが入居するシェアオフィス

このTellartのファウンダーでもあるMatt Cottamは、インタラクションデザインの研究機関Copenhagen Institute of Interaction Designの先生としても大人気の世界的なインダストリアルデザイナー。人柄も非常にフランクで、教育者としても超一流です。Tellartのショーケースには、トヨタの「Concept-i」 の他にも、UAEの内閣府と取り組んだ「MUSEUM OF THE FUTURE: MACHINIC LIFE」、グーグルと一緒に行った大英科学博物館の「CHROME WEB LAB」など、世界の先端クリエイティブが、これでもか!というくらいに並んでいます。

Tellartのファウンダーで世界的なデザイナーのMatt Cottam

Tellartは、そもそも未来に関係する仕事、未来をデザインする仕事をしており、テクノロジーが未来に与えるポジティブな面を追求しているとのこと。Mattは「未来においてクルマは、もはやクルマ(という機能)ではなく、ただの形にしか過ぎない。ただ、その形はロゴやフォントと同じで、カルチャーそのものを表現している。未来のカルチャーがクルマの形を決めていく」という話をしており、まさにトヨタのコンセプトカーなどが、そうしたことを体現してるんだな、と感じました。

自分が広告の仕事を始めた当時、今から20年前の広告は、まさに「未来をデザインする仕事」だとある種の憧れや、誇りを感じていました。まだ誰も言い当てていない物の価値を言葉で表したり、新商品が提案する新しい世界を表現したりすることが、社会を少しずつ未来に推し進めていく、というのが広告の役割であると感じていたからです。

ですからMattの話を聞きながら、自分が思い描いていた広告の役割とTellartが取り組んでいることが、実は同じなんだなあ、と嬉しくも感じました。

アメリカ人でもあるMattの率いるTellartが、なぜかアムステルダムに拠点を構えている、というのが、今まで再三お伝えしているように、アムステルダムに世界中のタレントが集まっていることの証でもあります。

Mattいわく「アムステルダムで行われていたデザイン関係のカンファレンスに何度か呼ばれているうちに、すっかり気に入ってしまいました。またこちらでの仕事では、全くストレスなく非常に温かく受け入れてもらえました。そこで、すぐにアムステルダムにオフィスを構えました。幸い、自分の妻がイタリア人であることもあり、EUにはすんなり移住もできましたし、その後、娘もここで生まれて、すっかりここの住環境を気に入っています。そして、何より実は私は熱心なヨットレーサーでもあるので、大西洋や、カリブ海、そして北海などにすぐに行ける、アムステルダムの環境が大好きなのです」とのこと。

こうしてアムステルダムには、世界中のトップクリエイターが集まってくるのです。

次ページ 「世界のトップクリエイターとのコラボが頻繁に行える」へ続く