多様性に向き合い進化を遂げる1年 — 『宣伝会議』『100万社のマーケティング』編集長 谷口 優

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メディアや手法の垣根がますます希薄となり、各専門領域の知見を生かしつつも、統合的なコミュニケーション戦略が求められている。各専門領域、メディアにおいても組織や人の変革が求められている。宣伝会議発行の各誌の編集長に聞く。

あらゆる顧客との接点に浸透するデジタルテクノロジー。

デジタルメディアの躍進は顕著な流れだが2018年は、テクノロジーが変えるオフラインチャネルの進化に着目したい。マスメディア、交通OOHを始めとした販促メディアなど、これまで効果測定、スピードなどの面でデジタルメディアに後れを取っていたオフラインメディアの変化の兆しが見えている。デジタルテクノロジーの浸透でオンラインもオフラインも部分最適ではなく全体最適でコミュニケーションを考える流れが加速するだろう。

これまで分断されがちだった、双方のプロフェッショナルたちの知見の交流、融合の中に、デジタル時代のマーケティング・コミュニケーションの進化が見えてくる。

さらに統合的なコミュニケーション設計が求められるだけでなく、その知見が求められる場も確実に広がっていく。長く広告は企業に対する共感、さらには信頼を築く手段となってきたが世界で躍進する、テクノロジー企業は誰もが体験できるサービス、その品質の蓄積で、信頼を獲得しつつある。形のないメッセージだけで、現代の消費者の信頼を得るのは難しくなってきていると言えるだろう。

広告界には、これまで培ってきたクリエイティビティを「広告」というコミュニケーション手段に捉われずに発揮し、新しい企業と消費者の関係性を構築するアイデアがますます求められている。

デジタルテクノロジーによる企業変革はコミュニケーションのパーソナライゼーションに留まらず、顧客起点のサプライチェーン全体の改革にまで及ぼうとしているからだ。この環境で生かされる広告界の強みとは他者の気持ちを想像して、より良いコミュニケーションを創造する力ではないだろうか。

特に2020年に向けて、ますます増える外国人観光客は、企業マーケティングにおいて外すことのできない注力テーマだ。社会や組織の「ダイバーシティ」の重要性が叫ばれる時代、国内外の多様な価値観を持った人たちの気持ちを想像するクリエイティブ力が強く求められている。

そもそも個性ある人たちが集まり、アイデアを衝突させながらも多様な考えをひとつの形に昇華させてきた点に、先人たちがつくりあげてきた広告界のひとつの強さがある。

一人ひとりの個性と好奇心を尊重し合う風土こそが新しい価値を生み出し、またモチベーション高く、仕事に邁進できる、広告界の働く場づくりにもつながっていくはずだ。

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