このコラムの最後の記事を見たら2016年の12月26日のコラムであったの2017年には一本も記事を寄稿していなかったことになるが、本年は定期的に寄稿していきたいと考えているのでよろしくお願いします。
筆者の考えでは2018年、日本はデジタルテクノロジーとそれに支えられたマーケティングにより高付加価値エコノミーへと進化して行くのではないかと考えている。少々長くなるが数回にわたってその展望を語ってみたいと思う。
2018年に日本が高付加価値エコノミーに入る背景としては各種デジタル技術の進展がある。
特にコミュニケーションプラットフォーム(ソーシャルネットワーク等含む)、決済プラットフォーム(Fintech等含む)、デジタルメディアプラットフォーム、データ分析プラットフォーム(ビッグデータ、AIなど)、データ収集プラットフォーム(IoTなど)コンテンツ・広告配信プラットフォーム(アドネットワーク・動画配信など)、通信プラットフォーム(4G, 5Gなど)などがこの数年大きく進化したことで様々な施策が可能になった。
これらが、もたらすものは様々であるがそのマーケティングへの影響は2014年に筆者が設立した「次世代マーケティングプラットフォーム研究会」で議論されているので、そちらをご覧いただきたい。
送料無料、無料コンテンツは無意味な時代へ
昨年、日本でインターネット通販が始まって以来の出来事がいくつか起こったのは記憶に新しいのではないだろうか?キッカケとなったのは業界最大手ヤマト運輸が2017年5月22日に発表し、10月1日実施した運賃の改定(値上げ)と制度改定(一部6月19日より施行)である。
この問題はネット通販の普及により配送の人員が特にピーク時に不足し、配送網が機能しない問題で基本的には供給過多が原因であり、筆者も前述のコラムで指摘していた問題である。配送料の値上げに関しては昨年末に配送が遅延した佐川急便も11月21日より値上げを実施して、結果的に今度は日本郵政が配送遅延を起こす事態となった。
また10月1日より「送料自由」を試験的に導入したファッション通販サイト大手のZOZOTOWNでは試験導入後の分析から11月より送料を一律200円としている。ZOZOTOWNの前澤社長は「送料は無料なわけないが、無料で当たり前という誤認識を与えてしまったのはEC事業者の責任」と語っている。
この問題はインターネット通販が始まった20年以上前から個別配送が必要なLast One Mile問題として認識されており、今まではシステムの進化や人海戦術によってカバーして来たのであるが、ここに来てその限界を超えて来てそのコストが改めて注目されているのである。
「i(アイ)トレンド」バックナンバー
- すべてのマーケティングがサブスクリプション化する?~マーケティング協会のイベントで感じたこと~(2018/5/11)
- 高付加価値経済の実現のために、なぜ賃上げが有効なのか(2018/4/23)
- デジタルテクノロジー/マーケティングの進化で実現するシェアリングと所有の二極化経済(2018/3/13)
- ピザ生産遅延、無料クーポン行列、集配遅延はなぜ起きたのか?(2016/12/26)
- まだ始まっていない日本航空の「どこかにマイル」の大ヒットを予想する理由(2016/12/01)
- AI(人工知能)は人類を超えるのか?(2016/7/20)
- カンヌ・サイバー部門総括「社会派の作品はチタニウムに集約へ」(2016/6/24)
新着CM
-
クリエイティブ (コラム)
アイデアが苦し紛れにくっつく瞬間がある――「KINCHO」ラジオCM制作の裏側
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
販売促進
ベビー用品の速達デリバリー 日本トイザらス、30分以内におむつやミルクを配達
-
AD
広報
AI活用で広報活動はどう変わる?プラップノードが「PR-AI Day」を開催
-
販売促進
「認知獲得」「販促」の両方使えるリテールメディア特性がメーカーの混乱を招く
-
クリエイティブ
earth music&ecologyが25周年 「いいことある服。」...
-
特集
はじめに/あとがき/解説でざっくりわかる 宣伝会議のこの本、どんな本?
-
販売促進
空飛ぶクルマの保険制度確立、損害保険ジャパン 2030年代に保険料収入150億目...
-
販売促進
大容量飲料と置き換わる濃縮タイプ サントリー、自分で割って飲む炭酸飲料発売