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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

「闘う哲学者」から受験生に贈るメッセージとは?(ゲスト:村田諒太)【後編】

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挫折を乗り越えるのに必要なのは、努力でなく「結果」

中村:村田選手は挫折って覚えてますか?

村田:覚えてますよ。大学4年生のときに北京オリンピックに出られなくて、そのまま大学の職員になって、サラリーマン生活も送ってました。そのうえでロンドンオリンピックに出たので、どれを挫折と言うかというところですが。

挫折として位置付けるのであれば北京オリンピックに出られなかったこと、かつ海外の一流選手とやったら勝てないだろうというメンタルに陥っていた状態の自分ですかね。でも、今思えばそれも1つの経験で、挫折かどうかという程度のものですね。

中村:それを払拭するには1にも2にも練習ですか?

村田:僕は挫折を乗り越える、自信を持つためには結果が重要だと思っています。努力って確かにちょっとした助けにはなりますが、完全に克服できるかというとそうではありません。やっぱり結果が出ない限りは克服できないんですよね。

結果が現れて、初めて努力してきてよかったなと思うわけで。1つ何かしらの結果を残すことは大事だなと。もちろんそのために練習があるんですけど、1にも2にも3にも練習だけではないのが事実だなと思います。挫折を乗り越えるためには。どこかで結果が1つついてきてくれないと、なかなか乗り越えられないんじゃないかと。

澤本:以前、村田さんが「努力は人を裏切らないと言うけど、それは違う」という話をされていたじゃないですか。結果は確かに裏切るものじゃないですもんね。

村田:そうですね。自分がやってきた道がこれで合っていたか、合ってなかったかと考えるじゃないですか。そういう意味で結果は非常にわかりやすいので、昔ながらの武道の精神でいくならば結果じゃない、精神性のものと思うかもしれないですけど、そこにいきつくには何十年という時間があって。

ただ単に人生において自信を持ちたい、1つの挫折を乗り越えたいということに関してだったら、何十年もかけていられないと思います。そう思うと、1つ結果が出てくれることは大きい。それは約束されるものではないですけど、どこかのために頑張っていくしかなくて。あとは申し訳ないけど、出る、出ないは神のみぞ知ることなので、そこは神に委ねるしかなくて。

澤本:村田さんは神とおっしゃったけど、神は村田さんの中にはあると。

村田:僕は思ってます。別に宗教的なものではないですが。

澤本:運というと変ですが、何かしら神は存在していて。

中村:運命ということですかね。

村田:運命というか、神様に対してどうこたえるかだと思うんです。結局、命を授かってるのは親からでもあるし、神様のものであって、それが神様からいただいた何よりのギフトじゃないですか。それをどういう風に使うか、大切にしていけるか、輝かせていけるかだと思うので、神様はそういう存在でいいんじゃないかと思ってます。

神様を信じたら何をしてくれるじゃなくて、我々人間には既に与えられたものがあるわけです。澤本さんという人が急に自分によってつくりあげられたわけじゃなく、神様から与えられたものなので。

澤本:既に神様が与えてくれたのが自分と。

村田:そうです。全てを与えてくれてるんです。

澤本:神様に頼んだら何かを与えてくれるという話ではなく、既にしてくれているという話ですね。

村田:そうです。

中村:ディープな話が大好きなんですが、そろそろ時間が来てしまいました。先ほど目標は立てないという話をしたばかりなのですが、2018年はどういう年にしたいと思ってますか?

村田:4月に防衛戦と言われているので、それをやって、そこからですね。勝ってからしか見えないので。まずそこをやってみて、見えたことをやっていくだけですね。

中村:かっこいいですね。村田選手の頭の中には攻める気持ちがギラギラにあるけど、まずは4月と。

澤本:村田さんはお会いするたびに落ち着いていかれるというか。最初に出ていただいたときと今と別人みたいですね。

村田:そうですか。あまり変わってないつもりなんですけど、前回も中村さんにそうおっしゃっていただいて。

中村:前に来ていただいたのが2017年7月だったんですけど、そのときのほうが武士のような、今より物静かな感じで。今回は、明鏡止水というか、一言一言に重みを感じてしまいました。

村田:前回、中村さんが言っていた「すごいですね」と言われているうちに自分がそう演じるようになると。そういう影響があるのかもしれません。

中村:一度結果を出すと、まわりが自分を褒めてくれて、本当の自分が少しずつそこに追いついていくと。それでは受験生もぜひがんばってください!

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構成・文:廣田喜昭