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デジタル×アナログって、本当に成果が出るの? 取り組み始めた4社の実例

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マーケティングオートメーションから、Eメール(オンライン)とDM(オフライン)を配信し、その効果を検証する実証実験「フルチャネルコミュニケーションプロジェクト」。これに参加した4社がそれぞれ抱えていた課題と、実験を通じて得られた成果を概観します。

大塚製薬は、健康飲料や栄養補助食品、サプリメントなどを取り扱う公式通販「オオツカ・プラスワン」を運営している。

通販で健康食品を購入した人に対し、リピート購入を促すための効果的なコミュニケーション方法を探っていた同社。
その一環で、日本郵便が主催する「フルチャネルコミュニケーションプロジェクト」に参加した。

購入者に対し、①Eメールを送付し、開封した人にDMを送付、②Eメールを送付し、未開封の人にDMを送付、③Eメールを送付せず、DMのみ送付する、の3パターンの施策を実施。その結果、①の場合のリピート購入率は②や③の約1.2倍という結果が得られた。また、③についても一定数のリピート購入につながった。

「メールを受信し、かつ開封していることが、DMの効果にも有効」だということが判明し、メールのアクティブ率を高めることが、デジタル×アナログを連携させたコミュニケーションにおいて、ひとつの重要なポイントとなることが見えてきた。

 


 

法人向けの名刺管理サービス「Sansan」は、事業が急成長したことで、関わる人数も扱うデータ量も増え、リードデータベースが重複したり、さまざまなデータがチームや部門ごとに管理されているため手作業が増えて管理工数がかさむといった課題があった。それらを解決するツールとして2016年にMAツールを導入し、マーケティングプロセスを再構築。その結果、受注件数は半年間で倍増した。しかしその一方で、「オンラインnotアクティブ層」が顕在化し、オンラインだけでマーケティングをしてもアプローチできない顧客がいるという課題が浮き彫りになった。

この層に対して有効なアプローチ方法を探す過程で「フルチャネルコミュニケーションプロジェクト」に参加。「Eメールのみ」「DMのみ」「EメールとDM」という3つのグループに分け、それぞれ施策を打った。

すると、EメールよりもDM、DMよりもDM+Eメールのほうがクリック率が高く、アクションの喚起につながっていることがわかった。

具体的には、①メールで届かない層へのリーチ、②反応期間の長さ(送付から6カ月経った後でもDMからアクセスしてくる顧客がいた)、③シャワー効果(届いたDMが上司から部下に渡されたり、手で触れるものが届くことで部門内に拡散できる)、の3つをDMのメリットとして確認することができた。

 


 

デジタルカメラやスマートフォンで撮影した写真をプリントしたり、フォトブックや年賀状を作成したりといった写真を楽しむ各種サービスを提供する「フジフイルムネットプリントサービス」。

このサービスにおいて、富士フイルムはメールとDMを組み合わせたダイレクトマーケティングを推進している。

従来のコミュニケーション手段は主にEメールで、MAツールを導入してメールマガジンの出し分けを行ってきた。しかし、メールの受信・開封状況を見ると、アプローチできている顧客は全体の8%ほどに過ぎないことが明らかに。

そこで「フルチャネルコミュニケーションプロジェクト」に参加し、DMを送付したところ、Eメール送信時のサイトアクセス率が平均0.7%であったのに対し、DM送付者のサイトアクセス率は45%を達成した。

さらに、EメールとDMの組み合わせおよび送付順を変えて、3つのクラスタ(①DM→Eメール、②Eメール→DM、③Eメール→Eメール)にお得なクーポンを配布。反応を比較したところ、サイトアクセス率・注文率ともに①のクラスタが最も高く、最も低かった③と比較すると、それぞれ2.3倍・4.7倍を記録した。

実証実験を通じて、MAと富士ゼロックスのバリアブルプリントシステムを活用したワントゥワンのDMアプローチの有効性を裏づけることができた。

 


 

無料求人情報誌「タウンワーク」や、アルバイトやパートなど仕事探しのサイト「フロムエー・ナビ」、女性の転職をサポートするサイト「とらばーゆ」の発行・運営などを手がけ、アルバイト、パート、派遣から正社員まで多種多様な雇用領域における人材採用に関する総合サービスを提供する、リクルートジョブズ。

同社はかねてから、MAツールを活用し、Eメールやコールセンターを駆使して利用者に合わせた情報を届けてきた。

ところが、オンライン施策に反応しない利用者や、そもそもオンラインnotアクティブ層の利用者が一定数存在し、オンライン施策だけでは情報提供が不足する実態があった。

そうした利用者への最適なアプローチ方法を探る中で「フルチャネルコミュニケーションプロジェクト」に参加。①Eメールのみ送付、②DM送付後にEメールを送付、③DMのみ送付、の3パターンに分けて施策を展開し、それぞれの反応の違いを比較した。

その結果、②の場合のサイト訪問率は①の約3.6倍を記録。Eメールによるアプローチを求めていない利用者に対し、DMによるアプローチを織り交ぜることで興味関心を喚起できることが明らかになった。

一定の効果が得られたため、オンラインの再活性化を図るとともに、EメールとDMの組み合わせ/送付順の有効性などを探るため、テストを継続している。


編集協力:日本郵便