メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

電通グループ、メディア・コンテンツで雄飛へ 担当プレジデントが語る「最終接点」担う矜持

share

国内電通グループ約150社で構成されるdentsu Japanは、メディア・コンテンツ部門を成長の柱に位置付け、マーケティングROIの最大化、コンテンツビジネスの進化、サステナビリティに注力する。創業以来重要領域であったメディア・コンテンツビジネスの事業領域をどのように進化させ、雄飛させるか。dentsu Japanの中村光孝エグゼクティブ・マネジメント(メディア・スポーツ/エンターテインメント プレジデント)は、「メディア・コンテンツビジネスは、生活者との最終接点であり、社会に活力を与える存在。クライアントやIP(知的財産権)ホルダーと共創し、かつてない価値を実現しなくてはならない」と語る。

dentsu Japan メディア・スポーツ/エンターテインメント プレジデント ㈱電通 統括執行役員(メディア・コンテンツ)中村 光孝氏

――直近のメディア・コンテンツ部門の業績をどう捉えていますか。

中村:24年度第1四半期がまさに終わったところですが、動向としては非常にポジティブです。2023年秋頃からメディア出稿の意欲が戻ってきた感覚があり、いよいよこの1〜3月は、インバウンド需要も含め、人流が戻ってきました。ライブイベント、スポーツやエンターテインメントも活況です。

――メディア・コンテンツ領域もコロナ禍で大きな打撃を受けました。

中村:眼前にある課題の多くは、実はかねてから存在していたもの。コロナ禍は、それらを表面化させたに過ぎないのではないかと考えています。ただ、テクノロジーの進展や体験、コンテンツの消費のされ方などは、コロナ禍が時計の針を急速に進めた、というのも確かです。

また、メディア企業やIPを海外から買い入れる企業にとって、円安はコンテンツ調達コスト、制作サイドにおいては、賃金上昇の機運や働き方改革などはコストの上昇に直結します。これまでの変動の吸収余力と、これからが同じか、というとそうではありません。コスト増に対する対応は、今や業界課題だと思います。

メディア・コンテンツ業界は社会に活力を与える存在であり、最終的な生活者との重要な接点でもあります。業界として継続発展できるよう進化していけるか。クライアント企業もコンテンツ権利者も含め、ステークホルダーに対する支援、課題解決をいままで以上に提供していくことが、電通グループとしても非常に重要なテーマのひとつです。

写真 人物 中村氏

――具体的な注力テーマは。

中村:大きく分けて、「マーケティングROIへの貢献」「コンテンツビジネスの進化」「サステナビリティ領域」の3つとなります。

――「マーケティングROIへの貢献」は、dentsu Japanとして打ち出した「Marketing For Growth」においても重要なものとなりそうです。

中村:はい。「Marketing For Growth」のなかでも、生活者が享受する体験のあらゆるプロセスを可視化すること、メディアやコンテンツが、マーケティングファネルにおいてどのような貢献をしているかを明瞭にすること。クライアントの事業拡大を推進する各種KPIに対する貢献についての説明責任を、これまで以上に果たしていきたいと考えています。まだまだ取り組みの余地が大きく残された部分です。

一方で、ROIそのものを高める上では、クライアント企業に提供する広告商品そのものの利便性を高めることも欠かせません。いくつか具体例も出てきていますが、これを個社ではなく、業界全体の底上げとして活用できるようにしたいと考えています。データと、利便性の掛け合わせ、そして広告商品の進化。これらなくして、クライアント企業、メディア企業、そして生活者の、各ステークホルダーへ貢献するのは、むしろ難しいはずです。

――「コンテンツビジネスの進化」についてはどのようなお考えですか。

中村:重要な側面としては、dentsu Japanの提供価値、存在価値の進化が求められているということです。スポーツ・エンターテインメントを例に挙げれば、旧来は“協賛”を募るビジネスのイメージが強かったかもしれませんが、いますでに出てきている事例は、全く異なります。むしろ“共創”と呼ぶべきものです。単なるスポンサードではなく、コンテンツというプラットフォームを活用して、クライアント企業の課題や社会課題を解決するためのコンテンツ創造及び付加価値の創出を具現化していきます。

dentsu Japan自体もコンテンツに投資をしていますが、こちらも、お金を出すだけではなく、我々自身が付加価値を付けていくことが求められます。メディアへ、クライアント企業へ、そして生活者へ、よりよいコンテンツを送り出すことがdentsu Japanの存在意義です。広告賞などで評価されるなど、実績を生み出せてきています。

「マーケティングROIへの貢献」が、クライアント企業への説明責任を果たす部分での貢献とすれば、具体的な事業拡大や解決策の提供が、“dentsu Japanの”コンテンツビジネスの進化として、求められることです。

――「サステナビリティ」への要求もますます高まっています。

中村:業界課題としては、やはりデジタル広告の信頼性。これは広告全体の信頼性に非常にかかわりが深い。不適切なコンテンツや広告と隣接しないというのはもちろんのこと、インプレッションの透明性、アカウンタビリティを高めなくてはなりません。広告界の継続性、今後の発展を左右する問題です。

より大きな視点では、温室効果ガスのスコープ3排出量。事業運営に関連して、間接的に温室効果ガスを生じさせる対象として、クライアント企業にとっては、広告会社や広告出稿先のメディア、イベントも関係してきます。クライアント企業に混乱を招いたり、非効率な作業を生み出したりしないよう、ひとつの基準をもって進めることが重要です。速やかに解決を図るべき課題と考えています。

――dentsu Japanにおいてのメディア・コンテンツビジネスはどのような位置づけになっていきますか。

中村:佐野(傑、dentsu Japan CEO 電通 代表取締役 社長執行役員)も発信していますが、dentsu Japanは、世の中に活力をもたらす会社でなければなりません。メディア・コンテンツ部門は、生活者との最終接点を担う領域だからこそ、まさにグループで掲げるビジョンの重要な一端を担えると考えています。

実は、いままでなかったような事例が多く出てきていて、本当はもっと細かくお話しできることがあります。メディア企業の持つ資産と地域のデータを掛け合わせて、ウェルビーイングへの貢献を果たすなど、いままさにプロジェクトが多数動いています。データ活用によるメディアビジネスの進化、メディア企業のBX(ビジネストランスフォーメーション)へのさらなる貢献を目指して、1月に㈱電通内にメディア・コンテンツ・トランスフォーメーション室もローンチしました。

日本のコンテンツが国外で受け入れられている状況下、唯一の日系グローバルネットワークとして、国内のIPホルダーに貢献できることがたくさんあると思います。映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の成功、先日発表したNFTプロジェクトAzukiのアニメ化等、今も多数のプロジェクトが動いています。

――部門メンバーとはどのようにビジョンの共有をしていますか。

中村:さまざまな結実の仕方、指針のあり方が存在すると思いますが、たとえば私は、クライアント企業の統合報告書に、できるだけ多く、ご支援した施策が載ることをやりがいにしています。それは結果的に、世の中の役に立った、求められることをご提供できたという証のひとつでもあります。

部門においては、独自の社内賞も設けています。年に1回、1年間を振り返って、好事例を紹介し、褒賞する制度です。dentsu Japanが目指すIGP(Integrated Growth Partner)の体現を共有する場にもなっていますし、我々がどのような道を歩んで、どこに向かっていくかのひとつの指針になっていると思います。

電通グループでは、「an invitation to the never before.」というパーパスを掲げています。これは創業以来、我々が目指してきたものが現代に反映されていると、個人的にも感じているところです。

たまさか、現在のポジションをいただいていますが、であるからには、まさにnever before、かつてないアイデアやソリューションを、メディアビジネスについても、コンテンツについても、追求していきたいと考えています。

advertimes_endmark


お問い合わせ
dentsu Japan
URL:https://www.japan.dentsu.com/jp/