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SNSに社外秘の情報が……!そんな事態を防ぐためには?

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新刊『危機管理&メディア対応 新ハンドブック』の著者で、国内外でメディアトレーニングの講師を務めてきた山口明雄氏が、初心者のための「危機管理広報のいろは」を解説する。

Q.SNSなどソーシャルメディアを通じて、個人が社会に直接発信できる今。社員や非正規社員による自社に関する投稿で炎上する事例も増えています。広報担当としてできる対策はあるのでしょうか。

A.ガイドラインを作成し、理解しやすい形で全従業員に共有を

炎上対策の鍵は広報が握っています。広報担当者は、炎上が起きた時に先陣を切って対応にあたるのは当然ですが、炎上は起こらないほうがいいわけなので、事前の対策にも力を入れておきたいですね。そのためには、社内広報活動を通して「原因療法」を実施しましょう。

モニタリングで火種を発見

炎上対策の手順を時系列で並べると次の通りです。(1)ソーシャルメディアガイドラインの準備(2)ソーシャルメディアのモニタリングを開始 (3)ガイドラインを全従業員に周知徹底する(4)炎上の火種を見つけたときにいち早く対応できる体制の整備 (5)炎上後の対応。

ソーシャルメディアには、SNSだけでなく動画共有サイト、口コミサイト、Q&Aポータル、ブログなども含まれます。ガイドラインは、それらソーシャルメディアを利用する際に、企業としての活用方針や、従業員が個人で利用する際の姿勢をまとめた指針です。昨今では、リスク管理・危機管理・危機管理広報のマニュアルに加えて、すでにほとんどの企業が準備しているかと思います。

次に、ソーシャルメディアのモニタリングを実施します。ソーシャルメディアのサービスの数は無限です。SNSひとつをとってもTwitter、Facebook、Instagramなど、どれも性格も使い方も情報の広がり方も違うため、自社に合わせて媒体を選択しモニタリングを行う必要があります。初心者はまず、TwitterとFacebookの投稿をまとめてキ-ワード検索できるYahoo ! 検索の「リアルタイム検索」を活用してみるのもいいでしょう。

炎上の火種は、ウェブ上のまとめサイトやニュースサイト、Yahoo !などのポータルサイトに掲載されることで大きくなります。こういったサイトで「炎上の兆し」を発見するのは容易なことではありません。必要に応じて外部のモニタリングサービスの導入を考えましょう。

現場でもリマインドを

ガイドラインは、策定しただけで炎上を防げるものではありません。全従業員に正しく理解してもらうことはもちろん、特に利用者が多いTwitterやFacebookなどのSNSで起こりうるリスクについては、常にリマインドし続けることが必要です。つまり、ここでも広報の力が求められるのです。

周知活動は、すべての人に興味をもってもらえるような方法で、分かりやすく伝えられるように考案しましょう。例えば、東海大学のウェブページでは「学生を対象としたソーシャルメディア活用ガイドライン」のパンフレットがダウンロードできるようになっています。裏表印刷すれば、PCデスクに立てておける仕様です。ソーシャルメディア利用時の禁止行為や心がけなどのポイントが分かりやすく書いてあります。困ったときの連絡先が入っているのも特徴です。

企業不祥事の多くは、当人も「悪い」と分かっていてやっているケースが多いですが、炎上事例のほとんどは無知や不注意が原因です。「注意一秒、怪我一生」の世界なのです。ガイドラインを手軽に見られる形にして全従業員と経営陣に共有し、社内だけでなく社外で個人のSNSを利用する際にも参考にしてもらうと良いでしょう。

また、近年は非正規従業員による「炎上」も増加しています。引越し会社の顧客(有名人)情報をTwitterに投稿したり、コンビニで勤務中に悪ふざけをしている様子をFacebookに投稿したりと、目が届きにくい「現場」が火種となるケースです。こういった事態を防ぐためには、非正規社員にも分かりやすい形でガイドラインを共有し、現場レベルでのリマインドも欠かさないようにしましょう。

最後に、SNSで炎上が起きた後の対応です。広報では、社員が炎上の兆しに出会ったときに即対応できる「窓口」としての体制を整えましょう。延焼が始まらないうちに、火種が発生したSNS内で使うバケツ一杯の水が決め手になるのです。

実際の対処法ですが、まずは何をおいても「謝罪」をすることです。問題はこちらの主張ではなく「相手の理解の仕方」であり、それは感情に基づくものである場合が多いからです。釈明せず、今後できることを礼儀正しく伝えることが重要です。ただしこれは一例であり、基本の対応です。ケースバイケースで最善の支援ができるよう広報スタッフは腕を磨きましょう。ネット炎上対策の支援会社によるサービスを利用するのもひとつです。

山口明雄(やまぐち・あきお)
アクセスイースト 代表取締役

東京外語大学を卒業後、NHKに入局。日本マクドネル・ダグラスで広報・宣伝マネージャーを務めたのを皮切りに、ヒル・アンド・ノウルトン・ジャパンで日本支社長、オズマピーアールで取締役副社長を務める。現在はアクセスイーストで国内外の企業に広報サービスを提供している。2018年2月、『危機管理&メディア対応 新ハンドブック』(宣伝会議刊)発売。