レターポットは善意によって成り立つ「アート」
西野:どこかでWebCMを打つのか、新成人の方を助けるのかと言ったら、新成人を助けたほうがレターポットの会社としては広告効果があるので、広告費として出していて。だから、感謝してもらうことがなくて。そうしたほうが最終的に助けられるだろうなと。
中村:広告というキーワードが出ましたね。思いもよらないところで。
澤本:これを聞いて、自分もレターポットやりたいと思ったら、何をすればいいんですか?
西野:レターポットで検索して、あとはFacebookログインでいけるので。レターポットやってますよとツイッターでつぶやいたら、誰かが振り込んでくれますね。
中村:20レターぐらいどうぞと。「おめでとうはじめたね」で、10レターぐらい来ると。
西野:面白いのが最初に1レター5円で買うと言ってるんですけど、実際にレターを買ってる人は20分の1ぐらいです。20分の19は誰かのレターを使って他の人に回してると。
澤本:買うのはどこから買うの?
西野:普通にレターポットの画面で、レターを送る、レターを読む、レターを買うというボタンが3つしかないので。面白いですよ。1か月やると、やっぱり人が見えてくるんです。人ってこういうときにこう動くんだと。最近、「なるほど」と思ったのは、レターポットの説明って、難しいんですよ。お金の歴史からいかないといけないから時間がかかるんですね。
そのとき、目黒さんという無名の女の子なんですけど、「私図解をつくります。イラスト入りでわかりやすく説明するのをつくります」と、誰から頼まれたわけじゃないのに、目黒さんがレターポットとはこういうことですと、簡単にまとめてくれたんです。目黒さんがそれをつくってくれたから、みんなから目黒さんのレターポットに「ありがとう、ありがとう」と、レターがめっちゃ貯まったんです。
一般の方なんですけど、一瞬で1万5千レターぐらい集まって。目黒さんは自分でレターを持っていても仕方ないので、次どうしたかというと、新規ユーザーの方、0レターの方にどうぞ使ってくださいと配りだしたんです。新規ユーザーの人も目黒さんにありがとうという気持ちがあって。
そのタイミングで彼女は狙ったわけじゃないけど、一口500円でノートパソコンが欲しいという欲にまみれたクラウドファンディングをやったところ(笑)、一晩で達成したんです。
一同:へー!
西野:目黒さんにありがとうと言っていた人どうしが、「目黒さんから100レターもらって、それは500円ぶんだから、クラウドファンディングで500円入れようよ」と、みんながバーッと入れて、目黒さんの信用がお金になってパソコンを買えたんです。そういうのが面白い動きですね。
澤本:面白いね。このシステム自体が人の善意によって成り立っているというところが。さっき西野さんが言っていたけど、本当にアートだよね。
<後編へつづく>
構成・文:廣田喜昭
「澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所」バックナンバー
- すべての役がターニングポイント(前田弘二・倉悠貴)【後編】(2024/3/14)
- この映画が大変な人の逃げ場になればうれしい(前田弘二・倉悠貴)【前編】(2024/3/12)
- 3期生のおかげで、櫻坂46がパワーアップした(藤吉夏鈴&山﨑天)【後編】(2024/2/22)
- 櫻坂46は格闘技。裏は戦場だけど、ライブが好き(藤吉夏鈴&山﨑天)【前編】(2024/2/21)
- 芸人と広告クリエイター、それぞれのアイデア発想法(ハナコ・秋山寛貴)【後編】(2024/2/08)
- 広告好きな芸人が、広告から学んでいること(ハナコ・秋山寛貴)【前編】(2024/2/06)
- 乃木坂46の公式ライバル「僕が見たかった青空」はどんなグループ?(柳堀花怜・安納蒼衣)(2023/12/14)
- 映画『福田村事件』で感じた集団の恐ろしさ(田中麗奈)【後編】(2023/11/22)
新着CM
-
マーケティング
JCB、二宮さん起用の広告再開 CMやYouTube…4月から
-
マーケティング
伊藤忠、ボスコンと合弁 DXコンサルティングで新会社
-
販売促進
新規獲得に依存しない「守りの販促」を実現する グロースマーケティングとは何か
-
AD
マーケティング
博報堂プロダクツに聞く、サステナビリティ推進と事業貢献の実現事例
-
マーケティング
顧客インサイトを発見する能力を高めるには? 味の素マーケター育成の取り組み
-
人事・人物
ダイハツ工業、「三つの誓い」改革推進部を設置(24年4月1日付)
-
AD
特集
OOHと生活者の交差点を考える
-
販売促進
採れたての初日の出を電力に 受賞者が明かす「販促コンペ」企画が実現するまで
-
販売促進
価格帯の二極化進む外食市場 インバウンド活況の裏で人手不足も、日本フードサービス...