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コラム

陰気なアラサーが世界を回す

スタンプラリー化する消費時代に、コンバージョンは希薄化する

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【前回】「「決めてくれ」病のワカモノたちに効く、「決めてあげる」モノづくりの工夫」はこちら

123RF

「これは映えてるわ〜〜〜〜!!」。

最近、私の友人の何人かがよく、この「映える」という言葉を使うようになりました。2017年の年末に、「インスタ映え」が流行語大賞を取りましたが、2018年になってもなお、若い女の子たちの日々の生活にはInstagramのフィルターがかかったまま。「インスタ映えしている」が「映える」という、より短縮された動詞風ことばに変わってしまうほど、彼女たちは日々「Instagramに載せるもの」を探しています。

実際、Instagramから人気に火がついた商品もたくさんありました。私自身もインフルエンサーたちのInstagram投稿を見て、財布の紐を緩ませた経験が何度もあります。Instagramだけでなく、いまだにTwitterのバズも根強いパワーを持っており、最近では、資生堂「IHADA(イハダ)」のアレルスクリーンが「花粉症にすごく効く!」とTwitterで大評判になり、会社のエレベーターで鼻をすするたび、先輩から「これ、Twitterで流行ってるの見て買ったけどすごくいいよ」と教えてもらう経験をしました。そして実際に私も買ってみてしまった。私自身もまた、Twitterで何度もこの商品の評判を見ていたからです。

去年はInstagramが特別に目立っていましたが、特定のサービスだけではなく、この数年を通して、人々の意思決定の中にSNSが深く影響するようになってきた気配を感じています。

SNS時代の消費は「高速スタンプラリー型」

りょかち
1992年生まれ。京都府出身。IT企業の社員として働く傍ら、通称「自撮ラー」を名乗り、SNSに自撮りをアップし続ける自撮り女子。若者文化やセルフィーアプリに関心を持ち、インターネット文化についての取材も多数受ける。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。ツイッター: @ryokachii

しかし、そんな風潮の中で思うのは、私たちの消費スタイルが「高速スタンプラリー型」になっているということ。

日々、新しい「トレンド」「注目アイテム」が生まれては消えていく。誰もが自分の日常を発信し、メディアとして社会に影響をあたえることができるようになった現代では、私たちはそのトレンドに対して、「流行のあそこ、行きました!」「流行のアレ、買いました!」というように、濁流のように駆け抜ける流行を必死に追いかけている。

そこには、「巷で流行しているイケてる商品を自分も試してみよう」という欲求ではなく「流行しているアレを試してみたことを発信したい」「流行に乗っている自分を発信したい」という欲求が数多くあると推測しています。まるでそれは、流行アイテムをスタンプとするスタンプラリーに参加しているかのよう。

また、TwitterやInstagramという超フロー型UIのSNSが、流行を生み出す巨大プラットフォームとなることで、そのスタンプラリーの変化速度はどんどん加速しています。いわゆる「情報感度が高い人」および「それを目指す人」は、刻一刻と流れていくタイムラインから、その瞬間アツいモーメントを抽出し、自分もまたそのモーメントのひとつとなることにどこか疲弊しているのではないでしょうか。

次ページ 「高速化する行動についていけない企業の悩み」へ続く