【前回コラム】「オチまで3秒が限界?私たちは私たちの「短気」をもっと意識すべきかもしれない」はこちら
2018年に話題になった“ワカモノアプリ”といえばTikTokだろう。中国発のアプリで、日本にまでムーブメントを巻き起こしたアプリとして、一躍有名になった。
TikTokとは、短尺動画プラットフォームで、音楽に合わせて制作された15秒程度の動画をひたすら縦スワイプで次々と見ていくことができるアプリだ。代表的なのは、ダンス動画で、2018年はDA PUMP「U.S.A.」や倖田來未「め組のひと」など、よく使用された曲から大ヒット・再ヒットが生まれたことでも話題になった。
2018年、若者の間で、TikTokが流行った理由として私も世間も唱えていた理論はこうである。“ワカモノにとってのTikTokは新時代の「盛りカメラアプリ」”。適度にナチュラルに可愛く顔が加工される「盛り機能」と、最新曲という「撮る言い訳づくり」「撮るきっかけづくり」で構成されている。これまでのワカモノ女子による盛り文化の流れを汲んだソーシャルメディアなのである。
実際に、若くて可愛い女の子・イケメンたちが、最新の流行の曲に合わせて何万本もの動画をアップロードしていた。私もアラサーながらその一人である。
“ワカモノアプリ”としてのTikTokブームの沈静化
TikTokが“ワカモノアプリ”として絶好調だったのは2018年9月で、いまは一旦落ち着いたと私は思っている。7月からの夏休み期間の勢いはすごかった。実際に感度の高い女子高生のアカウントを見てみると定期的に動画をアップロードしていたし、一般の学生がスタバで「TikTok撮る?」と話しているのも耳にしていた。
しかし、高校生の夏休みは8月31日まで。大学生の夏休みも9月30日までが一般的だ。その夏の熱量をピークとして、その後は勢いがスローになっていっているのを感じていた。
当時、見ている人はたくさんいても、アップロードしている人はまだまだ全体と比べると少数で、見るメディアとして普及してきたかな?くらいな肌感覚だったし、それと同時に“ワカモノの新しい面白カルチャーが大好きなおじさんメディア”がTikTokをさかんすぎるほどに取り上げるようになってきていたので、「これはUSで大流行して話題になったものの、日本ではイマイチ定着しなかったSnapchatと同じパターンかな……」などと思っていた。
「あれ、これがTikTokのCMなの?」という違和感
それと同時に、なんとなく違和感があったのが、マス向けのプロモーションである。もちろん、渋谷の大型ビジョンでの映像上映や学生のイベントへの協賛など、ワカモノに向けているプロモーションももちろんあったのだが、CMに上戸彩さんが抜擢され、「むむ、上戸彩さん、私か私より少し上世代の人は大好きだと思うけど、想定していたユーザー像とちょっと違うような……?」と思っていた。
その後、お笑い芸人のくっきーがアサインされてワカモノっぽさを感じたが、今度はCMで訴求されている内容に違和感を覚えた。音楽に合わせてダンスするのではなく、音楽はあるものの、それに合わせていろんな場面を撮影しているのである(もちろんダンスっぽい内容はあるものの)。キャッチは「みんなの思い出エンタメアプリ」。まるで、“TikTokは曲に合わせてダンスするアプリだけじゃないぜ”と言っているような内容だった。
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