ヤマハは5月22日まで、ヤマハ銀座ビルで人工知能(AI)とピアノの連弾を楽しめるインスタレーション「Duet with YOO(デュエット・ウィズ・ユー)」を実施している。
「YOO(ユー)」は同社が開発を進める人工知能合奏技術で、AIが弾き手の演奏をリアルタイムに解析し、連携する自動演奏ピアノが一人ひとりの弾き方に合わせ連弾をしてくれるもの。連携する楽器を変えれば、さまざまな「共演者」との合奏が可能となる。
今回のインスタレーションは博報堂アイ・スタジオとの共同プロジェクトで、AIの動きを映像化した体験型展示だ。今年3月に米国テキサス州オースティンで開催された世界最大級のマルチメディアの祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」への出展に合わせた取り組みで、日本では今回が初実施となる。
同社でマーケティング戦略を担当する新竹美奈子氏は「私たちが扱うのは、楽器という特殊性ある製品。弾いて初めて、楽しさが分かる。だからこそ、体験価値をいかに高め、届けるかが重要だ」と話す。これまで同技術を使ったプロの演奏家やオーケストラとの「共演」の実績はあった。今回の展示は、一般のお客さまに「バーチャルな演奏者との合奏」という新たな音楽の楽しみ方を伝えるための「プロトタイプ」だ。
AIを単なるシステムではなく、音楽を一緒に楽しむパートナーと感じてもらうため、その存在を視覚化する。キーワードとなったのは「気配」だったという。「引っ張ってくれる先輩のようであり、長年連れ添ってきた友人のようであり。ヤマハさんの技術はとても人間的」。プロジェクトをともに進めた博報堂アイ・スタジオFuture Create Lab 局長の望月重太朗氏は言う。
本格的にプロジェクトが始動してから出展まではわずか3か月ほど。ヤマハのテクノロジーと博報堂アイ・スタジオが強みとするユーザーエクスピアリエンスを組み合わせ、強いメッセージを届けられればと、一つのチームとしてスピード感を持って進めた。
「私たちには技術はある。ピアノはある。世の中に問いたいメッセージもある。それをどう伝えるかアドバイスいただいた」と言う新竹氏。望月氏は、「今後こうした共同的なプロジェクトの進め方は増えていく」と見る。
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