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「神」か「英雄」か?物語における顧客の描き方から考えるブランド戦略

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元P&G、ステンゲル氏の「目的」別ブランド分類

123RF

前回の記事では物語ブランドについて語りました。
今回はその物語にも、いくつかの種類があるということをご紹介したいと思います。これは文学においてはジャンル論と呼ばれる領域です。ブランドの領域における、こうしたジャンル分けの中で、近年もっとも有名なのは元P&Gのジム・ステンゲルの著書『Grow(邦題:本当のブランド理念について語ろう 「志の高さ」を成長に変えたトップ企業50)2011年刊』で語られているブランド理念の分類でしょう。それは下記の5つの理念原則に分類されます。

1.喜びを感じさせる(幸せや驚き、無限の可能性を体験する後押しをする)
2.結びつく事を助ける(他の人達や世界と有意義な形で結びつく能力を高める)
3.探究心を刺激する(新しい世界や経験に乗り出すのを助ける)
4.誇りをかき立てる(自信や力、安心感、活力を高める事を可能にする)
5.社会に影響を及ぼす(現状を揺さぶり、社会全体に好ましい影響を与える)

アップルやグーグルのようなテクノロジー企業は主に「探究心を刺激する」でしょうが、フェイスブックやスターバックスは「結びつく事を助ける」であり、コカ・コーラやマクドナルドは「喜びを感じさせる」ことがその目的と言えるでしょう。

このような分類は、前回紹介したジョナ・サックス氏ほかの論者にとっては、物語に出てくるキャラクターが演じる役割による分類と同じだと言えます。たとえば3のような探究心を刺激する理念とは、冒険者などキャラクターに言い換えられるからです。そしてステンゲルの言う理念とは、そのキャラクターがどういうことに直面するかどうか、つまりはストーリーよりも、彼らが最終的に成し遂げようとする目的に注目したものと言えます。

ステンゲル自身もこれを「Higher Purpose高次元の目的」という言い方をしていますが、ブランドを目的から見直すという視点は、キャラクターの特長のような意味合いでの役割というよりも、もっと大きな意味での物語ブランドの社会的な意味合いを示しているということです。これはブランド論でいえばブランドの使命とも言い換えられるでしょう。

次ページ 「物語の6つの筋から分類するブランド」へ続く

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