自分らしさだけの世界から「卒業」させられるアラサー世代
“26歳直前になって少しずつ、自分に似合うものがわかってきて、最近女の子でいるのが楽しくなってきたの”
とあるランチで同い年の同僚が私に話してくれた。自分に合うものが自分でわかってきた最近は、服やメイクで失敗することがなくなり、自分に似合うファッションを突き詰めることができるようになって楽しいという。
“そうなんだ…いいなあ”
思わず呟いた私は、まだその「自分らしいスタイル」を見つけられていないサイドの人間だ。未だに、新しい季節が来るたびに自分の服装やメイクに困っている。
というのも、女の子は20代中盤から、少しずつ「卒業」を求められる。派手な色の服装とか、短すぎるスカートとか、大きすぎるピアスとか、卒業せずに身につけていると、なんとなく「服を選んでいる変わった人」だと思われるようになってしまう。少し前までは、みんなやってた「カワイイ!」なのに。少しずつ、「自分の好み」とは別軸の、「似合うもの」「年齢を考慮したもの」「TPOに沿ったもの」をオトナとして身につけることを求められる。
私は、若い子しかできない「カワイイ!」ファッションが好きなので、オトナになっていくにつれて「オトナの女性というのはどんな服を着ればいいのか…」というのが全くわからなくなってしまった。
「自意識」と「常識」の間で、迷子になる私たち
自分の好みがわかっている人にとって、身につけるものの購入はシンプルだ。自分のスタイルに合わせて、適切な価格帯のブランドのアイテムを適切に選べばいい。人によっては、「勝負服と通勤服」で価格帯やブランドを使い分けている人もいれば、服はユニクロやGUでOKだけど、小物はハイブランドで、という人もいるだろう。しかしみんなだいたいテイストやブランドは固定化されていて、シーズンや流行に合わせて新しいアイテムをワードローブに加えていく。
一方で、そのスタイルすらも選べない私のような人たちにとって、現代はとても生きづらい世の中になってしまった。
一昔前ならとりあえず流行に乗っておけばよかったが、それぞれのスタイルで王道ファッションを身に着けている人たちの集団になってしまった2018年の世の中には、そんな大規模な流行も起こらなくなってしまった。
一昔前ならわかりやすいクラスタの象徴として存在していた「雑誌」も今やその存在感が弱まり、「友達みんなこの雑誌読んでいるし、とりあえず私も読んで、載っている服を着よう」もできない時代だ。
わかりやすい時代のシンボルも、雑誌による明確なクラス分けもなくなってしまった今、実は多くのアラサーたちが、TPOと自意識の間で、ファッション迷子になっているのではないかと思う。
「陰気なアラサーが世界を回す」バックナンバー
- なぜ、「女性を語る広告」はこじらせているのか(2019/4/12)
- TikTokがワカモノアプリの時代は終わった。2019年のTikTokはオトナがブーストさせていく(2019/3/25)
- オチまで3秒が限界?私たちは私たちの「短気」をもっと意識すべきかもしれない(2019/1/17)
- 心も身体も躍らせてほしい、欲張りな私たちが求める次世代ワークアウト(2018/9/21)
- りょかち氏の新コラム「陰気なアラサーが世界を回す」がスタートします(2018/8/16)
- スタンプラリー化する消費時代に、コンバージョンは希薄化する(2018/4/04)
- 「決めてくれ」病のワカモノたちに効く、「決めてあげる」モノづくりの工夫(2018/2/05)
新着CM
-
クリエイティブ
サントリー烏龍茶や月桂冠など定番6商品、ファミマカラー限定パッケージに
-
クリエイティブ
ズンズンペンギン、ヌンヌンアザラシ…海の動物が迫るマリンワールドの広告
-
クリエイティブ
新木優子がファッショナブルな間食を提案、湖池屋「ランチパイ」CMの裏側
-
広報
U-NEXT HOLDINGS、新社名にあわせたブランドコミュニケーション開始
-
AD
– 心地よい未来を、データとつくる。 –
-
クリエイティブ
「一言日記」のような言葉で心を捉えるルミネのコピー、約20年続く理由
-
クリエイティブ
お米・人・製品への愛を表現、賀来健人をキャラクターに『亀田の柿の種』の新キャンペ...
-
特集
はじめに/あとがき/解説でざっくりわかる 宣伝会議のこの本、どんな本?
-
マーケティング
味の素「丸鶏がらスープ」ロゴを商標登録 広告出稿やブランド想起など決め手に