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コミュニケーションは「コスト」ではなく「インベスト(投資)」である

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対話を通じてプロジェクトの指標をアップデートする

前田:他に気をつけることがあれば教えて頂けますか?

長尾:先ほどの話にもつながりますがプロセスの評価指標を伝えて、共有して、握ることです。そのために、相手に「どう進めていきたい?」と聞いてみる。

前田:対談の冒頭(前回記事リンク)にも出てきた「want」をプロジェクトリーダーだけでなく、メンバーにも促すと。でもメンバーもきっと「should」で考えているであろうからこそ・・・・・・

長尾:「対話」が必要です。その対話の前提は、「私は正しいし、あなたも正しい」という態度をとることです。評価には定性的なものも定量的なものもありますが、それらの指標を組み合わせて、このプロジェクトで何が起きているかを把握し続けること、つまり事実に基づいたフィードバックを続けることがプロジェクトにおけるファシリテーターの仕事だと思っています。

前田:定性的な評価と定量的な評価の組み合わせはすごく大事ですね。プ譜制作ワークショップでも、「勝利条件(プロジェクトがどのようになれば成功といえるかという判断基準)」や「中間目的」を、定性的に表現するか、定量的に表現するかで、プロジェクトの進め方がガラリと変わってくるので、とても重視しています。

長尾:はい。今僕は今治FCでファシリテーターとしてプロ契約を結んでいるんですが、練習や試合中に、監督やコーチが試合中の指示としてただ「上がれ!」と言うのではなく、「〇〇、何メートル右に」と指示を明確にすると選手に指示が伝わりやすいですよ、というお話をしたりします。

前田:それ言われてみると当たり前に感じますが、その指示の集積が試合結果に影響することを思うと、とても疎かにアバウトにできないですね。明確に、定量的に表現することで、やることが具体化されてわかりやすくなる。一方で、プ譜の話で例えると、勝利条件を「定量的」に表現すると、やることが明確になる半面、打ち手が乏しくなる傾向があります。そんな時は定量的な表現に変えてみると、解釈の余地が大きくなる分、打ち手が広がります。そうした勝利条件や中間目的の表現が、プロジェクトを進めていく中で、その表現の仕方が適切でなければ、修正・更新していけばいいんですが、これをちゃんと上司やメンバーと握って、把握し続けるということが重要ということなんですね。

長尾:スポーツがいいのは自分がたった今とった行動の是(good)か非(bad)がダイレクトに、すぐわかるところです。でも、仕事は自分がやっていること、やってきたことの是非がすぐにわからない。結果が出るまでに時間がかかる。さらに言えば、やっていることの意味さえわかっていないこともあります。

前田:そういう意味でもプロジェクトのプロセス、そこにおける目標と指標の意味をともにつくって記録し、アップデートしていくのは本当に大事ですね。



完璧なリーダーはもういらない
チームづくりの専門家でもある著者・長尾彰氏が、TVアニメや実写映画にもなった人気マンガ『宇宙兄弟』に登場する数々のエピソードやセリフを引用し、自分の強みを活かしながらリーダーシップを発揮する方法や、理想のチーム作りを指南する!

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