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コラム

アスリートとつくる、熱量の高いファンのコミュニティ

レッドブル・エアレースが根付くまで10年、特殊スポーツをカテゴリーごと育てる意義

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フィロソフィーを尊重する

さて、このような競技人口が極端に少なければ、価値を高めるために企業もある程度覚悟せねばいけないが、自身も競技者ではなく専門家でもないので相手を本当に信頼しないといけない。この競技にポテンシャルがあるのか、ブランドにとって有効なのかを考えながらも、お互い率直に意見を言えるかも大事である。

企業という顔もあるが、やはり最後はこの企業の誰とアスリートが付き合うかになるため、担当者の質も問われる。活動は常に次に繋がるか、お互いが必要とするものや世の中をつないでいくことでなければならない。アスリートが企業の色に染まるのではなくて、お互いにイノベーションが起こせるのかを考えるべきだと室屋さんも言っていた。お互いが切磋琢磨して新しい世界を作り上げることが両者の価値向上や利益となる。

つまり、このような希少価値の高いスポーツにおいて企業とアスリートとの関係で大事なのは、互いのフィロソフィーの尊重と文化が合うか、そして両者の価値が長期的な視点で本当に向上できる可能性があるかである。アスリートとしての活躍できるかどうかの要素はもちろんだが、文化が合わずに一緒にいることや我慢してどちらかに合わせることは不幸だと思うと同時に、一緒になることで価値を高められなければお互い一緒になる意味はないのである。

さらに最大限活用する

ちなみに、エアレースとアスリートの良さを発信するとき、ブランドコミュニケーションの観点から伝えたのがほとんどだが、もう一つこのスポーツとアスリートは、営業という観点でも効力を発揮する。

エアレースは、パイロットの平均年齢も40歳以上だと思うが、同年代の経営者や幹部が、VIPラウンジというゆったりした空間で観戦し、室屋さんやパイロットの活躍を応援する。いつも会社で頑張っているおじさん達がおじさんパイロットを応援することで実はやる気も出てくる。

パイロットがお客様の前にきて挨拶する機会もあり、これはトップ外交や関係構築にもとても役に立っていると思っている。あの年齢であそこまで頑張れさらにかっこいいなら、俺たちももっとできるのか、といっている経営者の方々がたくさんいた。帰りにはモチベーションが高まって、きっと翌日から少しだけ新鮮な気持ちになったとも思っている。

ブランド自らが場所を持ち、そこを中心に関係を作れることはなかなか貴重な機会であり、さらにスポーツ好きの経営者や幹部へのアピールの場として最高であり、一つのレッドブルワールドを作るいいチャンスであり、パイロットのみならず、他のアスリートを紹介するにも有効だった。

次ページ 「まとめ」へ続く