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文化庁メディア芸術祭グランプリ、「チコちゃんに叱られる!」他3作品を選出

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第22回文化庁メディア芸術祭の受賞作品、および功労賞受賞者が発表された。

本年度は過去最多となる世界102の国と地域から応募があり、4384作品の中から部門ごとに大賞、優秀賞、新人賞各賞が選出された。

アート部門大賞には、古舘健氏の300台を越えるスピーカーとLEDライトを使用した、サウンドインスタレーション「Pulses/Grains/Phase/Moiré」。

エンターテインメント部門大賞には、何でも知っている5歳の女の子という設定のキャラクター「チコちゃん」が素朴な疑問を明らかにしていく番組「チコちゃんに叱られる!」。

アニメーション部門大賞にはBoris LABBÉ氏(フランス)による、ダンテ・アリギエーリの『神曲地獄篇』に着想を得た短編アニメーション「La Chute」。

そしてマンガ部門大賞には、Boichi氏(韓国)によるSF漫画「ORIGIN」が選出された。

エンターテインメント部門大賞に選出された「チコちゃんに叱られる!」は、日常のなかで生まれる疑問を、スタジオでお笑い芸人の岡村隆史やゲストに投げかけながら、専門家のインタビュー映像によって回答していく。

チコちゃんの着ぐるみは複数台のカメラで撮影されたうえで、放映時に頭部を3DCGのモデルに置き換える処理が行われている。置き換えられる頭部パーツは着ぐるみの頭部を精緻に3Dスキャンしたものであり、本当に着ぐるみの顔のパーツが動いているかのような表現を、目や口の形を自在に変えることで実現。さらに3DCGによる頭部パーツは、頭を突然大きくしたり、変顔をするなどのマンガ的な演出も可能にしている。

番組ゲストが質問に答えられなかった際に、チコちゃんが頭を大きくしながら叱る恒例のセリフ「ボーっと生きてんじゃねーよ!」は2018年の新語・流行語大賞の候補に選出されるなど、幅広い世代に人気を集めている。

大賞選出理由として、審査員の遠藤雅伸氏は「クイズ形式だが正解を競うのではなく、諸説あるなかから最初はポカーンだが説明を聞けばフーンと納得できる話題を提供する。テレビという媒体でも、こんなつくり方で新しいエンターテインメントを表現できるという、荒唐無稽だが日本人の感性にマッチした挑戦的作品である。

その中核となるのが、2.5頭身の着ぐるみ頭部を3DCGで置き換えたキャラクターで、昭和なおかっぱ頭とレトロ感のあるセットは、CG合成であることを意識させない。しかし決め台詞の「ボーっと生きてんじゃねーよ!」で見せる異形への変化が、日本でしか生まれないだろう強いアクセントになっている」とコメントしている。

同部門優秀賞には、体験型ゲーム「歌舞伎町 探偵セブン」、アプリ「LINNÉ LENS」、アプリケーション「TikTok」、パフォーマンス「Perfume × Technology presents “Reframe”」の4作品が選ばれている。

なお、功労賞は、アニメーション監督/アニメーション研究者 池田宏氏、評論家 呉 智英氏、クリエイティブディレクター 小池一子氏、筑波大学名誉教授 三田村畯右氏の四氏に贈られた。

「第22回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」は、6月1日から東京・お台場の日本科学未来館を中心に開催される予定だ。

メディア芸術祭受賞作品

大賞

アート部門
「Pulses/Grains/Phase/Moiré」 サウンドインスタレーション 古舘健(日本)

エンターテイメント部門
「チコちゃんに叱られる!」 テレビ番組 『チコちゃんに叱られる! 』制作チーム(日本)

アニメーション部門
「La Chute」短編アニメーション Boris LABBÉ(フランス)

マンガ部門
「ORIGIN」 Boichi(韓国)

優秀賞

アート部門
「Culturing cut」 メディアインスタレーション、バイオアート 岩崎秀雄(日本)
「datum」 メディアインスタレーション 平川紀道(日本)
「discrete figures」 ダンスインスタレーション 真鍋大度/石橋素/ MIKIKO/ELEVENPLAY(日本)
「Lasermice」 メディアインスタレーション 菅野創(日本)

エンターテイメント部門
「歌舞伎町 探偵セブン」 体験型ゲーム 『歌舞伎町 探偵セブン』制作チーム (代表:加藤隆生/西澤匠/平井真貴/堀田延/岩元辰郎)(日本)
「LINNÉ LENS」 アプリケーション LINNÉ LENS制作チーム(代表:杉本謙一)(日本)
「Perfume × Technology presents “Reframe”」パフォーマンス Perfume+Reframe制作チーム(代表:MIKIKO)/真鍋大度/石橋素(日本)
「TikTok」アプリケーション 『TikTok』Japanチーム(日本)

アニメーション部門
「大人のためのグリム童話 手をなくした少女」 劇場アニメーション セバスチャン・ローデンバック(フランス)
「ひそねとまそたん」 テレビアニメーション 樋口真嗣(日本)
「ペンギン・ハイウェイ」 劇場アニメーション 石田祐康(日本)
「若おかみは小学生!」 劇場アニメーション 高坂希太郎(日本)

マンガ部門
「宇宙戦艦ティラミス」 原作:宮川サトシ/作画:伊藤亰(日本)
「凪のお暇」  コナリミサト(日本)
「百と卍」 紗久楽さわ(日本)
「夕暮れへ」 齋藤なずな(日本)

新人賞

アート部門
「SPARE (not mine)」 インタラクティブアート Jonathan Fletcher MOORE(米国)
「Total Tolstoy」 メディアインスタレーション Andrey CHUGUNOV(ロシア)
「watage」 メディアインスタレーション  (euglena)(日本)

エンターテイメント部門
「水曜日のカンパネラ『かぐや姫』」ミュージックビデオ 水曜日のカンパネラ『かぐや姫』制作チーム (監督:山田健人)(日本)
「春」 映像作品 大森歩(日本)
「Pixel Ripped 1989」 ゲーム Ana RIBEIRO / Carlo CAPUTO / Julia LEMOS / Leonardo BATELLI / William RODRIGUEZ(ブラジル)

アニメーション部門
「透明人間」 短編アニメーション 山下明彦(日本)
「Am I a Wolf?」 短編アニメーション Amir Houshang MOEIN(イラン)
「The Little Ship」 短編アニメーション Anastasia MAKHLINA(ロシア)

マンガ部門
「黄色い円盤」 黄島点心(日本)
「見えない違い̶私はアスペルガー」 マドモワゼル・カロリーヌ/原作:ジュリー・ダシェ/ 訳:原正人(フランス/日本)
「メタモルフォーゼの縁側」 鶴谷香央理(日本)

功労賞

池田宏 アニメーション監督/アニメーション研究者
呉智英 評論家
小池一子 クリエイティブディレクター
三田村畯右 筑波大学名誉教授