たった5時間で「万葉集」増刷を決めたKADOKAWA
当日の17時7分に配信された、KADOKAWAの万葉集の重版のリリースはビジネス面からも見ても実用的な内容だ。「令和」が万葉集から引用されたということで、発表から5時間後には増刷を決めている。判断が早いしリリースも早い。
KADOKAWA
「新元号『令和』の典拠は『万葉集』梅花の歌32首『序』 角川ソフィア文庫『万葉集』が1万6000部の緊急重版決定!」
そう、改元というのはビジネスに直結しているのだ。
もしかすると先の「美文字」も、これから市場として大きく飛躍するかもしれない。
「新元号発表後、タイトル改めました」のリリース
面白いのは、エキサイトのリリース。
よく見てみると発行日時が2019年の3月29日17時30分。そう、新元号発表の3日前である。
エキサイト
「新元号『令和』に向けて『平成で終わりにしたいことは…?』『新しい時代にママが望むこと』についての調査結果発表!」
もしかしてここの広報は預言者?超能力者?と思いきや、実はこれにはトリックがあると思われる。3月29日に一度配信し、元号発表後にタイトル変更をして「新元号令和」に向けてとしたのだろう。
これもまた、デジタル配信のリリースだからこそなせる技である。リリースの本編を読んでも、「令和」という文字はどこにも出てこない。
ちなみにPR TIMESの発表によると、「平成」にまつわるリリースも4月1日に96本配信されており、「令和」の52本を上回ったという。
4月4日7時現在、PR TIMESのプレスリリースキーワードランキングの1位は「イベント」。これは筆者が知っている限り通年1位のキーワードなので問題ないだろう。2位が令和。3位が新元号、12位に「平成」というランキング結果となっている。
発表から4日たった今現在も「令和」「平成」に関するリリースは続々と上がっているので、このブームは当面続くのだろう。
次なる「平成最後」「令和初」のリリース合戦にも注目!
それと4月1日といえばエイプリルフール。PR TIMES上では今年は127本、昨年は112本、関連リリースが出たそうだ。もっと減るかと筆者は思っていたが、そうでもないようだ。とはいえ、まとめサイトもあまり盛り上がらなかったので、各社とも影響は少なかったのだろうと思われる。
次の大きな山は、4月30日の「平成最後」のリリースだろう。だが10連休の真っ只中。もしかするとちょっとテンションが下がるかもしれない。だが、まだ20日以上あるので企画はいくらでも考えつくだろう。
そして当然のことながら、5月1日の新元号「令和」施行後のリリースは、お祭り状態になるかもしれない。今回の「平成」関連の96本を超えるのだろうか?
「令和初」「令和で最初の」「新元号記念」といったリリースがあふれることだろう。だがそれでいいのだと思う。
すでに各社とも準備をしていると思う。1番最初に登場するのはどんな切り口のリリースだろうか?ここでご紹介したように、事前に発行してタイトルを変更するという技もありだろう。
今回のような改元。生涯に何度もあるようなものではない。
歴史の浅いベンチャー企業の多くは、直面するのが今回が初めてだ。
便乗商法と言われようがなんだろうが、せっかくなので広報担当者の腕の見せどころだからガンガン攻めてほしいものだ。
またぜひ5月の改元後に分析をしてみたいものだ。広報視点からみる改元の分析も生涯で何度もできるわけではない。筆者の経験としてもこれが最初で最後だろう。
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