メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

TYO学生ムービーアワード 初となる受賞作品が決定

share

近年、スマホがあれば動画を作れる時代となり、さまざまなシーンで映像活用の機会が増えている。同時に、映像ディレクターの活躍する領域も広がりつつある。そんな中、2018年に創設されたのが、学生を対象としたムービーアワード「TYO学生ムービーアワード」である。本賞の受賞作品が発表され、2月14日に表彰式が開催された。

各賞を受賞した学生の皆さん

603エントリーの中からグランプリを決定

本アワードを立ち上げたのは、テレビCM、オンライン動画といった映像制作を中心に多様なコンテンツ制作の実績を持ち、CM、映画などの映像ディレクターを数多く生み出してきたティー・ワイ・オー(TYO)。次世代の才能の発掘と育成、さらには映像業界全体の発展に寄与していきたいという思いから、本アワードの開催に至った。

審査員の皆さん

審査にあたったのは、TYO代表取締役社長早川和良さんをはじめ、多くのCM・映像制作に携わってきたディレクター陣、そして特別審査員として資生堂チーフクリエイティブディレクター小助川雅人さん、俳優で「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」代表である別所哲也さん、映画監督細田守さん。

今回、「走る」から発想した60秒のショートフィルムをテーマに作品を募集したところ、全国から603ものエントリーがあったという。人物映像からアニメーション、CG、モーショングラフィックスと多岐にわたる表現の中から、最終ノミネート5作品を選出した。

金賞に選ばれたのは、佐賀大学西遼太郎さんの『ありとありじごく』だ。ある男性が出勤前に立ち寄る「ありじごく」と呼ばれる遊具。その内側を走りながら思いを巡らせていると、突然男性は未確認飛行物体に吸い込まれる。そこにいたのは、巨大な女王蟻…という予想外の展開を見せるストーリーだ。「“走る”というテーマを聞いて、最初に思い浮かんだのが子どもの頃に遊んだ公園にあった“ありじごく”と呼ばれる遊具。

“ありじごく”から『ありとキリギリス』、そして労働へとつながり、このストーリーができあがりました」と、西さんは話した。この作品について、審査員からは「ブラックなオチへの持っていき方が完璧だった」(佐藤渉さん)、「ハッピーエンドで終わらないところが刺さり、考えさせられた作品」(浜崎慎治さん)という評価が寄せられた。金賞を受賞した西さんには、賞金100万円が贈られた。さらに副賞として、TOHOシネマズ渋谷で3月29日から4月4日まで受賞作品が本編・予告編前に上映された。

表彰式の様子

銀賞は軽快なリズムに乗せたアニメーション作品、京都精華大学岡崎和佳奈さん『A busy pen』、銅賞は少女マンガ的なストーリー展開の、武蔵野美術大学櫻井美希さん『GET THE DESTINY』、そしてさまざまな映像をコラージュした、札幌大谷大学山田航平さん『始まり』、審査員特別賞は社会問題に取り組んだ、立命館大学村井ミチルさん『希望に夢を走らせて』に決定した。

早川審査委員長は「審査会では、審査員がそれぞれの価値観をもって審査をし、その価値観がぶつかりあってとても面白いものでした。素晴らしい作品が選ばれたと思います。映像コンテンツの面白いところは自分の頭で考えたことを目に見えるようにできるところです。ぜひこのTYO学生ムービーアワードをきっかけに映像業界のドアを叩いてほしいと思います」と総評し、学生たちにエールの言葉を贈った。受賞作品は、TYO学生ムービーアワード公式サイトで見ることができる。

金賞

『ありとありじごく』

西 遼太郎
佐賀大学 芸術地域デザイン学部 芸術地域デザイン学科 地域デザインコース3年

受賞コメント:テーマの「走る」から最初に浮かんだのは小さいころによく行った公園の「ありじごく」と呼ばれる遊具でした。そこから着想してストーリーを考え、作品を仕上げました。賞金は卒業制作の制作資金に充てたいです。

審査員コメント:皆、同じ条件である60秒ですが、映像やストーリー、CGなど様々なテクニックを重ねて、60秒と感じさせない長いコンテンツを見せてもらった感覚です。「走る」テーマをわかりやすく表現し、日本のサラリーマンに皮肉を重ねてバッドエンドにしているストーリー性や構成力、撮影能力の高さなど、素晴らしい映像コンテンツになっていました。

企画+ディレクター+カメラマン+CG+編集+出演/西遼太郎
カメラマン+出演/佐藤徹平
CG/三村郁末

銀賞

『A busy pen』

岡崎 和佳奈
京都精華大学 芸術学部 造形学科 映像専攻2年

受賞コメント:ストレートに「走る」ものを映像にしたら作品が埋もれてしまうと思ったので「ペンを走らせる」に重点を置いて作品を仕上げました。最後までどういった動きにしたら「気持ちが走る」ことを表現できるか、締め切り直前まで何度もやり直しました。

審査員コメント:登場人物は走っていないが「ペンが走る」「気持ちが走る」というコンセプトが良く、音楽と動きの気持ちよさ、キャラクターの独自性などすべてが相まって何度も見たくなる中毒性を感じる作品でした。

企画+ディレクター+アニメーション+編集+MA+音楽/岡崎和佳奈

銅賞

『始まり』

山田 航平
札幌大谷大学 芸術学部 美術学科 メディア表現領域 写真・映像・メディアアート専攻2年

受賞コメント:テーマを持って作品を作ることが初めてだったので、大学の教授からアドバイスを受けながら1人で試行錯誤しながら作品を作りました。

審査員コメント:「これから何が始まるのか?」「この終わり方は何を意味するのか?」と映像に引き込まれました。映像センスも良く、撮影、編集のクオリティがとても高い作品でした。

企画+ディレクター+カメラマン+編集+MA+出演/山田航平
カメラマン+出演/田村百花

銅賞

『GET THE DESTINY』

櫻井 美希
武蔵野美術大学 造形学部 映像学科4年

受賞コメント:最終ノミネート作品に残ると思っていなかったです。いわゆる“少女マンガのベタな設定”をベースにした作品を作りたくて、いくつか案を考えた中、このストーリーを仕上げました。画コンテを詳しく書き、学校の近くで撮影アングルを決めて撮影許可を取ってしっかりと準備をしました。

審査員コメント:ストーリー構成が考えられていて、60秒を見ている人に楽しんでもらいたい、という気持ちが前面に出ていました。出演の皆さんの真剣度も高く、演出に容赦ない点も素晴らしかったです。

企画+ディレクター+カメラマン+編集+MA/櫻井美希
カメラマン+出演/千葉ひろき
出演/田中麗、池上涼、榊原麗、石黒美佳、薮崎まゆ

審査員特別賞

『希望に夢を走らせて』

村井ミチル
立命館大学 映像学部 映像学科2年

受賞コメント:作品を作るにあたって意識したことは、60秒の中にいろいろな要素を入れすぎるとゴチャゴチャとするので簡潔になるように、1回で誰が見ても分かるような作品に仕上げました。

審査員コメント:社会問題に向き合い「走る」動機を映像でうまく表現した力強い作品で、他の応募作品とは一味違っていました。

企画+ディレクター+カメラマン+編集+MA/村井ミチル
ライトマン/中江駿
録音/秋鹿祐貴、北野瑛利子
PM/濵田未来、石黒碧
出演/岩谷愛友星

※学年は、2019年2月14日時点。