2004年に米国・NYでの開催に始まった「Advertising Week」。2016年には東京でアジア初となる「Advertising Week Asia」が開催された。2019年5月27日から30日には4回目となる東京での開催が予定されている。
日本の広告界を代表する210名のアドバイザーが参画をし、いま日本の広告界が議論するテーマを持ち寄り、企画される「Advertising Week Asia」。そのアドバイザリーボードのメンバーたちが今、日本の広告界が向き合う課題、そして希望についてリレー形式で語っていく。
(「Advertising Week Asia 2019」アドタイ読者限定割引ページはこちら)
日本の広告界を代表する210名のアドバイザーが参画をし、いま日本の広告界が議論するテーマを持ち寄り、企画される「Advertising Week Asia」。そのアドバイザリーボードのメンバーたちが今、日本の広告界が向き合う課題、そして希望についてリレー形式で語っていく。
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もう一度、熱狂の広告業界を創るために必要なこと
【執筆者】
イグナイト 代表取締役社長
「Advertising Week Asia」エクゼクティブ・プロデューサー
笠松良彦氏
博報堂において媒体・制作・PR・イベント等、コミュニケーション戦略全体を統括。電通に移りメディアマーケティング局チーフ・ストラテジストとしてメディアプランニングを中心に実施。電通とリクルートのジョイントベンチャーであるMedia Shakers代表取締役社長を務めた後、電通のコミュニケーションデザインセンターを経て2010年7月にイグナイト設立。2006年カンヌ広告祭メディア部門プロモライオン受賞。
デジタルは、マーケティングの一部の機能である
最近、「デジタルマーケティング」という言葉がよく使われますが、私は個人的にはこの言葉自体が間違っていると思っています。デジタルはあくまでも「マーケティング」の大きな概念の1領域にすぎません。
かつてデジタルがないとできなかったこと、例えば膨大な顧客IDの管理、IDから顧客の行動履歴や状況を分析し理解すること、個人の嗜好に対して、ある程度最適なリコメンドがることなど、デジタル登場前は、人力で実現するには無理があったことが簡単にできるようになった「領域」が生まれただけで、“デジタルだけでマーケティングが完結する”わけではないからです。その意味では、デジタルはマーケティング上の強力なツールではあるけれども、それだけで全てを解決するものではないということです。
広告業界からアフターデジタルの世界を変えよう
その一方で、デジタルが社会にもたらすインパクトは、従来のマーケティングの概念を大きく上回る革命に近いインパクトがあることも事実です。私は昨年、数回にわたって、中国のデジタルトランスフォーメーションの実態視察に行きました。テンセント、アリババ、平安といった企業や、実際にサービスを立ち上げた方々とお会いして、お話しをする中で痛感したのは、「日本はいつのまにか、マーケティングの世界でも中国に先を行かれてしまった」という実感です。