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Twitterは新商品アイデアの宝庫!岩下食品社長のソーシャルリスニング施策

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ファンがファンを呼ぶ「ハブ」に

岩下社長が、これまでTwitter上でコミュニケーションを取った相手は「大切なお客様」としてリスト化。その数およそ10万人にも上るという

また、岩下食品のファンが「ハブ」となって、新たなファン獲得に貢献してくれているのも、同社の特徴だ。

「数年前にTwitterでフォロワーにアンケートを取りました。私のアカウントをフォローしたきっかけを聞いたのです。その回答の圧倒的多数が、商品自体への関心ではなかったのです」。自分の関心のある(食品以外の)ジャンルの話題から岩下の新生姜に興味を持った、というケースが多かったのだ。

「例えばTwitterで私とのご縁が生まれた『打首獄門同好会』というラウドロックのバンドが岩下の新生姜の歌を歌ってくれたことから彼らのファンも関心を持ってくれました」。ファンとファンの関係性に重なる形で、岩下の新生姜の認知度はさらに広がっている。

ユーザーの声を商品企画に

広がったユーザーからは、新商品に関する要望も漏れ聞こえてくるように。その結果生まれたもののひとつが、前述の「岩下漬けの素〈粉末タイプ〉」だ。

その他、数々の商品をSNS発で生み出すうちに、社長・社内でも以下のような座組みができた。ユーザーから新商品のシーズとなる要望が発信されたら、社長が即座にリプライ。それが他のユーザーのリプライを呼び、反響を確認しつつ、より具体的な商品イメージができあがる。最初の“種”の段階で、その声をメールで社内各所に送付。生産上の開発可否が検討される。その後、量産販売が可能か確認するために、Twitterで同様の声はないか再度問い掛けることもある。

こうした、声を拾って形にする、という姿勢は、「(岩下社長に言えば)実現してくれる」というユーザーからの信頼獲得につながり、結果、ユーザーはさらに声を発信しやすくなるという好循環につながっている。「ソーシャルリスニングを通じ、商品企画につなげる」。まさにマーケティング的には理想の形だが、社長は、その言葉に違和感を抱く。「お客さまの『こうしてほしい』という声を形にするのも、何より感謝ゆえです」。例えば、「岩下の新生姜ミュージアム」の建設も、まずはTwitterで商品を応援してくれているユーザーに喜んでもらいたかったからだと述べる。

さらに、「近くの店に岩下の新生姜が売っていない」との声があった際には、その店舗への営業活動を指示。「個別の小さな案件への対応では、利益はほとんど期待できなくとも、直接の要望にはできる限り応えたい。それは商品を愛し、口コミを広げようとしてくださっているお客さまへの恩返しだからです」。

アカウント開設から10年。ここまでやってこられたのはひとえに、ユーザーから商品の感想を聞くのが嬉しかったからだと語る岩下社長。「仕事と思っていたら続けられなかったでしょう。(自分ではなく)“中の人”に任せてしまおうかと考える時もありますが、社長からの感謝の言葉をお客さまが喜んでくださるし、何より私自身も嬉しく、楽しいからこそ、自ら時間を割き続けているのです」。

岩下 和了
@shinshoga
*Twitterの企業公式アカウントはなし

DATA
アカウント運営担当部門(部署):なし
投稿しているメンバーの人数:1人(社長)
開設年:2010年
岩下食品の開設アカウント:Facebook

 

その他、現在発売中の月刊『広報会議』10月号には、アドビやすみだ水族館など、デジタルをうまく生かした、“コロナ禍ならでは”のコミュニケーション設計の事例が多数掲載されています。ぜひご活用ください。