対談者
コモディティ化が進む家電ジャンル 機能ではなく共感で差別化
若松:ちょうど今朝、地元の駅で高校生が「BRUNO」のポータブルミニファンを使っているのを見ました。幅広い世代に受け入れられている「BRUNO」ブランドですが、どのように生まれ、成長してきたのでしょうか。
星野:「BRUNO」は2012年9月の立ち上げで、8周年目に入りました。大人が楽しめるようなライフスタイルブランドとして、インテリア雑貨やシーズン家電、キッチ家電等を手掛けています。ライフスタイル領域では商品構成上、リビング・ダイニングジャンルが強くなるので、その流れでホットプレートも誕生しました。このホットプレートがInstagramなどで話題となり、ブランド自体の認知も拡大していきました。
家電をはじめ、今は多くの商品ジャンルでコモディティ化が進んでおり、機能的な面での差別化は難しい。そこで「BRUNO」では、店頭での体験や商品との出会いでいかにお客さまにときめきを感じてもらえるか、共感を与えることができるかといった精神的な部分へのアプローチを重視してきました。
Instagramと合わせて、ギフト需要の取り込みもブランドの推進力となりました。キッチン家電としてのアプローチに固執せず、近年ホットプレートを結婚式のお祝いに送るという動きに着目し、ギフトの選択肢として認知拡大できたことが新たなメインストリームを獲得した、要因の一つだと考えています。
若松:私も初めて「BRUNO」のホットプレートを知ったのはInstagramでした。SNSでの仕掛けは意識的に行われたのでしょうか。
星野:ブランドとInstagramという媒体の相性が良さそうだというのは理解していましたが、お客さまが自発的に広めてくださったと考えています。
私たちはそこまで広告投資をしていないので、Instagramは主力媒体として位置付けています。外部企業の協力も得ながらInstagramの運用方法を検証しました。ハッシュタグの、選定方法を見直し、コアファンとライトファンに対して投稿のバランスを意識しながら運用しています。
また、今はUGC(User Generated Contents)も重視されています。私たちもお客さまが発信する情報を認識して、フォローしていく活動を継続的に行っています。こうした動きはお客さまにも喜んでもらっていて、メーカーと消費者の距離の近さをうまく表現できているのではないかと感じています。
Instagramではお客さまが欲しいと思うホットプレートの色を投票してもらい、一番人気の色をメーカーとして製造しますというキャンペーンも行いました。実施前は5000件くらい応募があればいいかなと思っていたのですが、実際は3万件近い応募があり、カラーバリエーションのニーズとInstagramの影響力の大きさに驚くことになりました。単純にハッシュタグ付きの投稿でプレゼントというものではなく、キャンペーンを起点にお客さまと盛り上がるような内容を意識しています。
直営店はギフトの比率が約7割 販路によって売上構成を変える
若松:ギフト需要がブランドの推進力になったというお話もありましたが、実際、売上の構成でもギフトの比重は大きいのでしょうか。
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