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「Advertising Week2020:Asia」開催記念コラム① — 舞台裏を覗いてみれば。(吉井 陽交)

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2004年に米・NYでの開催から始まった「Advertising Week」。2016年には東京でアジア初となる「Advertising Week Asia」が開催され、以後毎年開催。今年10月14日~15日までの期間に、5回目となる「Advertising Week Asia」が開催となる。

今年は全編オンラインでの開催となるが、オンラインになったからこそ日本独自に企画したセッションだけでなく、米国・欧州で開催の「Advertising Week」のセッションの一部を視聴することが可能になる(見逃し視聴は10月末まで可能)。

日本の広告界が議論すべきテーマを参加するボードメンバーが持ち寄り、セッションが企画される「Advertising Week Asia」。アドバイザリーボードのメンバーが今、日本の広告界が向き合う課題、そして希望についてリレー形式で語っていく。

Advertising Weekにようこそ!

今年も「Advertising Week」が東京にやってきます。このイベントは2004年にNYで始まり、現在は世界の6地域をカバーし、毎年16万人の感度の高い業界人が集まり、新たな知見をシェアするオープンな場所です。

という謳い文句は、「アドタイ」読者の皆さんはすでにご存知ですね。今回は、私を皮切りに合計3名の「Advertising Week Asia」のボードメンバーがリレー形式でコラムを執筆。各ボードメンバーが現在、広告の世界に対して抱いている課題や期待を提示しながら、今年の「Advertising Week Asia」について、さらにはコロナ禍の今年にもAWが生み出されていくのか、ちょっとだけ理解いただけるような内容をお届けしようと思います。

そもそも私は…

2018年の7月、夏の日差しが気持ちよく入ってくる早朝のホテルのダイニング・ルームで、眼鏡の奥に無邪気とも取れる眼差しを宿した図体の大きなアメリカ人と向き合っていました。「どうだ、面白いだろう!」。

前日だけの打ち合わせの予定が、明日も同じ時間でと強引に誘われて2日連続の朝食打ち合わせ、次に出てきた言葉が「とにかく8月のシドニーに来ないか?」。

その時の私はCEOを務めていた電通とWPPとの合弁事業が解消され、これを機会に次の仕事を探そうといくつかの会社と面談を進めているさなかでした。2日連続の彼との会話で、自分を育ててくれた広告業界への恩返しという選択もあるかもしれないと思いつき、言われるままに8月の冬のシドニー行きを決めました。

彼こそ、「Advertising Week」の産みの親であるMatthew Schecknerでした。

真夏の東京から降り立った真冬のシドニーで私が目にしたのが「Advertising Week APAC」。観光名所でもあるオペラ・ハウスでのオープニング・ガラではすでにメンバー扱いで多くの人に紹介され、翌日からのイベント会場はフェリーでたどり着ける遊園地を借り切っての3日間。多くのセミナー・セッションでの熱い空気と一歩外にでればメリーゴーランドのギャップ、誰でも気さくに話しかけてくる雰囲気も楽しく、交換した多くの名刺を手に、気づけばこの世界に引き込まれてしまいました。

Asiaの事務局として2019年の初仕事を終えて、2年目の今年はオンライン世界同時期開催という想像できない事態の準備のなかでこの原稿を書いています。

いったい、誰がこのイベントを作っているのでしょうか?

Advisory Council、もしかしたら、この言葉を耳にしたことのある方もいるかもしれませんね。

ここまでの規模のイベントであれば、普通は業界団体や協会が運営します。しかし私たちは世界全ての地域共通で全く異なるかたちの運営をしています。このイベントの趣旨に賛同してボランティアで活動する人たちで構成され、全体のテーマ設定から独自のコンテンツ制作までを行い「Advertising Week」を支えるのがAdvisory Councilです(以下カウンシル)。業界の一線で活躍されている方ばかりで構成され、忙しい時間を縫って議論し、自ら名乗りを上げてテーマに沿ったコンテンツを企画し、さらには実際に登壇してユニークな知見を披露します。

「Advertising Week Asia」では東京を中心に現在34名。おそらく、皆さんがお名前を聞いたことのある方が多いと思います。

すでにお気づきかと思いますが、「Advertising Week」のコンテンツにはグローバルからのセッション、協賛企業によるセッション、そしてAsiaのカウンシルによるセッションがあります。

私たちはこの3者のバランスこそがイベントの命と思っています。

何が業界を熱狂させ、次の時代への糸口になるのか、それを真剣に考え抜いてカタチにしている人たちがカウンシルなのです。彼等のセッションのおかげで、他の見本市のようなイベントとは一線を画していることが、「Advertising Week Asia」の神髄と言えましょう。

後の回にその具体的な話しは譲るとして、ひとつだけ、私が企画してきたコンテンツをお話ししたいと思います。

JAA チャレンジ・アワード

早くから海外では広告主サイドにマーケターというポジションが確立し、ブランドを任される専門職となってきました。日本では宣伝部と広告代理店の関係性のイメージ、人事異動での知見蓄積の難しさが過去にありましたが、現在は多くの事業会社がブランドの重要性を意識し、CMOをはじめマーケターという専門職種を置くようになってきました。

マーケターの人たちも数多くこのイベントに登壇し、知見をシェアし議論の機会が増えることが、私のひとつの目標です。海外の「Advertising Week」ではエージェンシーなどの登壇数とマーケターの登壇数はほぼ同数です。業界を活性化する議論は全てのプレイヤーが同じ舞台に上がって成立するもの、そんな思いを込めて2年越しの話し合いの結果、今年からJAA チャレンジ・アワード発表の場が「Advertising Week2020:Asia」となりました。

JAA(日本アドバタイザーズ協会)さんが45年続けてきた「広告論文賞」をリニューアルし、広告主が日ごろの課題に向き合って編み出してきたチャレンジをプレゼンテーションの形で応募・審査される「チャレンジ・アワード」に生まれ変わりました。その最終審査に向けたプレゼンテーションと審査結果・講評が「Advertising Week2020:Asia」でご覧いただけます。

続きは皆さんに視聴いただくとして、全てのプレイヤーがより良い未来を目指して気づきをシェアしていける場所がここであることを目指します。

「Advertising Week」にようこそ。

Advertising Week Asia
Executive Director
吉井 陽交氏

読売広告社、英国Saatchi&Saatchi出向を経て1997年電通入社。
コカ・コーラ、グラクソ・スミスクラインなど外資系のアカウントを数多く担当。
2008年より電通とWPPの合弁事業を担当、各社の社外取締役に就任。
2016年より電通ワンダーマンにてCEOに就任(その後合弁解消により電通ダイレクト・ソリューションズに社名変更)。
2018年電通を退社し、Advertising Week AsiaにてExecutive Directorに就任。