競合との比較、そして遠回りな近道。

本コラムが書籍化されました!

【2022年6月20日発売】
『わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術』

お求めは全国書店・Amazonなどネット書店で

この連載も、

残すところあと2回となりました。

そして、「褒めの表現」については

今回で最後となります。

寂しい。(ぼくだけ)

ということで、今回も表現の話です。

王道的な手法から、ニッチな手法まで、

織り交ぜてご紹介します。

まずは「競合との比較」。

これは、相手の魅力を、

広い意味での「競合」と並べて提示することで、

魅力を際立たせるやり方です。

さらにいうと、

この

競合が強敵であればあるほどいい

です。

ただし、この競合とは、

「誰か」のことではありません。

人との相対的な比較じゃない。

そうではなく、

「今、いいとされている価値観や観念」

です。

今回もやはりキャッチコピーを参考に

見ていきましょう。

モーレツからビューティフルへ
(富士ゼロックス)

そう。だれもが「モーレツ」に働いていた時代に、

「そうではなくて、ビューティフルだよ!」

と比較して言い切ってしまう強さ。

モノより思い出。
(日産セレナ)

はい、こちらも旧時代的な価値観を、

堂々と塗り替えようとしていますね。

しかも、両方とも断言しているのがいい。

言い切っている男前さ。

例えば、仕事のスピードが遅いと悩んでいる同僚がいたとしましょう。

「これからの仕事は、スピードより丁寧さだよ」

と言ってあげる。

これは一面では正しいかもしれないし、

状況によっては間違っているかもしれない。

(1秒をも急ぐ現場もあるでしょうから)

でも、まず大事なのは、

小さくても自信を持ってもらうこと。

丁寧な仕事に自信がついてきたら、

しかるべき局面で

「丁寧さに加えて、今回はちょっとスピードも加わると完璧」

などと伝えるといいでしょう。

つまりこの手法とは、

相手のマイナス面をポジ転換する

やり方でもあるのです。

つづいて「韻を踏む」。

韻を踏むように褒める。

ハッキリいうと、すごく高度です。

停滞はバッド。
変化はグッド。
(earth music&ecology)

バザールでござーる
(NEC)

高度だけど、

イヤになるぐらい印象に残ります

よね。

さらに、「バザールでごさーる」考案者の

佐藤雅彦さんいわく

「濁音は印象に残りやすい」

とのことですので、

濁音の入った韻を踏めたなら、

もう完璧です。

ですので、相手の魅力を証明する

単語を見つけたとき、

その単語に濁点が含まれていたら、
この手法を思い出してください。

逆にいうと、それ以外の局面では、

無理して使わなくてもいいです。

例えば、夫は「頑張り屋」だなと思ったとします。

次のページ
1 2
澤田智洋(コピーライター/世界ゆるスポーツ協会代表)
澤田智洋(コピーライター/世界ゆるスポーツ協会代表)

1981年生まれ。幼少期をパリ、シカゴ、ロンドンで過ごした後17歳の時に帰国。2004年広告会社入社。映画「ダークナイト・ライジング」の『伝説が、壮絶に、終わる。』や、アミューズメントメディア総合学院の「あなたが生まれなければ、この世に生まれなかったものがある。」等のコピーを手掛ける。2015年に誰もが楽しめる新しいスポーツを開発する「世界ゆるスポーツ協会」を設立。 これまで80以上の新しいスポーツを開発し、10万人以上が体験。海外からも注目を集めている。 その他、UNITED ARROWS LTD.と取り組んでいる、一人を起点に新しいファッションを開発する「041 FASHION」、オリィ研究所と共同開発している視覚障がい者アテンドロボット「NIN_NIN」など、福祉領域におけるビジネスを多数プロデュースしている。

澤田智洋(コピーライター/世界ゆるスポーツ協会代表)

1981年生まれ。幼少期をパリ、シカゴ、ロンドンで過ごした後17歳の時に帰国。2004年広告会社入社。映画「ダークナイト・ライジング」の『伝説が、壮絶に、終わる。』や、アミューズメントメディア総合学院の「あなたが生まれなければ、この世に生まれなかったものがある。」等のコピーを手掛ける。2015年に誰もが楽しめる新しいスポーツを開発する「世界ゆるスポーツ協会」を設立。 これまで80以上の新しいスポーツを開発し、10万人以上が体験。海外からも注目を集めている。 その他、UNITED ARROWS LTD.と取り組んでいる、一人を起点に新しいファッションを開発する「041 FASHION」、オリィ研究所と共同開発している視覚障がい者アテンドロボット「NIN_NIN」など、福祉領域におけるビジネスを多数プロデュースしている。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ