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今年はコロナの影響で、予定通りに開催されなかったものがたくさんあったが、その中で(さすがにオリンピックを除いて)報道の量が一番多かったものは、「花火」じゃなかっただろうか。
まずは、各花火大会の中止のニュース。そして「こういう時こそ打ち上げなくては」と全国の花火師たちが連携して開催された花火大会は「三密を避けて、打ち上げの時間と場所は秘密」としてまたニュースに(花火師って、ホント粋だなぁ!)。
あっても、なくなっても、ニュースになる。そんな花火大会だが、昔、そのニュースを教材として使った「伝説の授業」があった。
出会ったのは、15年前くらいの新聞だったと記憶している。こんな内容だった。
「墨田区の中学校の先生が、隅田川花火を見に行きなさいという宿題を出した。そして、次の国語の授業で、新聞5紙の隅田川花火の記事を切り抜いて持ってきて、どの新聞の記事が君が見た花火大会を一番如実に表してるか選んで、と言った」と。
なんてクリエーティブな授業なんだろう。
表現の幅。見る人の視点の違い。言葉についての微細な感覚。受けた生徒は、この授業1つで、どんなに深い体験を得られただろう。そして何より、一生忘れないだろう。
その先生に会いたい。それを受けた生徒たちの反応が知りたい。
調べようとまずは、切り抜いたはずのその記事を探すのだが、見つからない。探しても探しても、ない。
仕方なく、ネットで検索する。キーワードは、
「墨田区 隅田川花火 授業 新聞記事」
ヒットしたのは、来年の隅田川花火は、オリンピックを避けて10月に開催予定との記事。へー、そうなのか、夏開催じゃないんだ‥。違う。知りたいのはそのことではない。
あ、そうだ、日経だったかも。日経新聞の方に探してもらうと、早速翌日、メールが届く。添付に2007年10月26日朝刊。そこに、隅田川の文字。
「隅田川の花火を報じた新聞各紙を並べ、どの記事が現場の空気を最も鮮やかに伝えているか感じさせる。」

