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グローバルエージェンシーのレポートから見る2020年加速したトレンド

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広告表現のNew Normal

これまで広告の中であたりまえのようにされてきた描写の一部は、このコロナ禍で暗に「放送禁止」とされてしまった。思いつくだけでも、握手、ハグ、混雑した場所、スポーツイベントや音楽ライブ、大人数での食事などがある。

たとえば「Finger lickin’good(指まで舐めちゃうおいしさ)」というシズル感たっぷりのキャッチフレーズを生み出したケンタッキー・フライド・チキン。残念ながら、フライドチキンを食べながら指をなめる人々の姿を映した広告は中止となった。握手の代わりとして、肘と肘をぶつけるあいさつ「エルボーバンプ」や、同じように足を当てる「ウーハンシェイク」などの映像が、SNSに現れるようになった。

肘と肘をぶつけあうあいさつ「エルボーバンプ」。

Wunderman Thompson Dataが米国の成人500人を対象に、2020年3月20日から23日にかけて実施したパンデミックに関する意識調査では、こういった意識・習慣の一部が、今後も定着していく可能性が示されている。調査結果によると、70%以上の人が、レストランや映画館、スポーツや文化的なイベントに再び頻繁に行く予定だと答えたが、社会的交流に関する特定の項目では数字が下がった。

35%はハグを避けることはNew Normal(新しいあたりまえ)になると信じており、36%はソーシャルディスタンシングをこれからも継続していくと答えた。また、挨拶の手段として、41%は頬にキスをする習慣を、43%は握手をやめると答えた。

消費者の意向がNew Normalに変化していく以上、広告もそれを踏襲せざるを得ない。この一連の流れの中で生まれた新しい価値観に対して、企業やブランドは、コミュニケーションで描く世界やブランドの理念に、消費者のリアルを反映する必要がある。

今回の調査にあたって、Bompas & Parrの創設者Sam Bompasさんは、次のように述べた。「新しい習慣の形成には21日から66日かかると言われています。人々のパーソナルスペースや衛生面の感覚は劇的に変化している。これからのデザインはこれらの新しい社会的な要求に応えるものとなります」。これはデザインに限ったことではなく、この約4カ月の期間でわたしたちが形成してきた習慣は、明らかにその前のものと変化している。それに呼応する広告・コミュニケーションが求められている。

The Future 100

The Future 100はWunderman Thompson Intelligencが中心となり、毎年発表しているグローバル・トレンドレポートです。同社ネットワークを活用した世界各地からのインプット、さまざまな分野の専門家、オピニオンリーダーへのヒアリング調査、通年実施しているさまざまなテーマの定量調査、定性調査の分析に基づき、10カテゴリー・100項目にわたってピックアップ、解説されています。
 
本年は、2020年版のレポートに加え、COVID-19の結果として急速に発展した20のトレンドに加え、世界の新しい習慣に順応していく中で生まれた全く新しい5つのトレンドに焦点を当てたレポート「The Future 100 2.0.20」を発表した。両レポートをセットで販売しています。